厚生労働省は6日、看護師の業務範囲に対する他の職能団体の認識を調べたアンケート結果を公表した。看護師による薬剤の選択や使用の拡大には、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会が揃って慎重姿勢を示し、日病薬のパイロット調査結果を参考に検討するよう求めた。日薬からは、地域でチーム医療を推進するツールとして、地域で使用する標準的な医薬品を定めた「地域処方集」や、地域特性を踏まえた治療・連携の手順を定めた、「地域治療ガイドライン」を策定する提案もあった。
アンケート結果は、厚労省のチーム医療推進会議の看護業務ワーキンググループに報告された。
看護師業務をめぐっては、厚労省の研究班による実態調査で、医師の包括的指示下で看護師による下剤、外用薬、制吐剤などの選択・使用を容認する意見が、医師や看護師で多いことなどが示されていた。これに対し、日薬と日病薬は、設問内容や用語の定義が曖昧で、実態が正確に反映されていない可能性があるとして、同調査のみに基づく判断を懸念した。
日薬は、看護師による選択・使用の対象が、「医師の指示に基づき、薬剤師が調剤した薬剤」を前提としたものであることも強調した。日病薬は下剤、整腸剤、外用薬、ドレッシング剤の選択・使用に、「看護師が患者の生活支援を行う上で必要」と、一定の理解を示す一方、制酸剤、制吐剤、止痢剤、鎮痛剤、解熱剤については、「投与禁忌・慎重投与の薬剤や、重篤な有害反応が報告されている薬剤も含まれる」と警鐘を鳴らした。
日薬、日病薬ともに、研究班調査で注射剤のミキシングや持参薬管理を、看護師以外の職種が行うべきとの回答が多かったことについても、調査の設定が不明確なことを理由に、判断を保留した。
また両団体は、チーム医療の一員として、薬物治療には必ず薬剤師が関与する意向を表明し、「医師の処方に基づいて薬剤師が調剤を行うという、原則を踏まえたチーム構成が不可欠」(日薬)、「薬物治療に関しては、全てに責任を持って業務にあたる所存」(日病薬)とした。
さらに日薬は、チーム医療の概念を地域医療に広げ、診療所、訪問看護ステーション、薬局、歯科診療所が連携するために、反復使用可能な処方せんの活用も視野に入れ、治療計画のプロトコールに基づく多職種による業務分担の必要性を指摘した。