キョーリン製薬ホールディングスは7日、国内ジェネリック医薬品(GE薬)企業大手の沢井製薬が行った経営統合提案を、拒否すると発表した。キョーリンは、沢井が提案する「ハイブリッド型製薬企業」について、「国内GE薬事業の中長期的な成長性に疑問がある」とし、「コアとなるべき新薬事業に悪影響を及ぼしかねない」との見解を表明。キョーリンの戦略に合致しないと拒否回答を沢井に通知した。
沢井は2日、キョーリンの新薬事業と沢井のGE薬事業を融合させた「ハイブリッド型製薬企業」の実現を目指す経営統合提案を公表した。都内で開いた事業説明会で、澤井光郎社長は、キョーリンを存続会社とする提携方式にも言及。さらに持ち株会社方式の経営統合が成立した場合も、傘下のキョーリンと沢井の上場を維持する方針を示すなど、友好的な姿勢を強調。「最も理想的」「最善のパートナー」と繰り返し低姿勢で訴えた。
しかしこれまで、水面下の打診でも前向きな回答が得られていなかったことから、キョーリン側の出方が注目されていたが、来年2月末の回答期限に対し、経営統合提案の公表からわずか5日後の拒否回答という結果になった。
キョーリンは回答で、子会社のキョーリンリメディオが手がけるGE薬事業について、「新薬事業が注力している領域の競争力補完」と位置づけ、あくまでもコア事業は新薬とする経営方針を強調。その上で、「GE薬事業は中長期的な事業環境が不透明で、成長性に疑問がある」との見方を示し、沢井が提案するハイブリッド型製薬企業構想は、「GE薬事業の収益が悪化した場合、新薬事業に悪影響が及びかねない」ため、新薬事業をコアと位置づけるキョーリンの戦略と合致しないと断じた。今回公表した経営統合提案についても、水面下で打診された提案と「何ら異なるものではなかった」と一蹴し、拒否回答を通知した。
沢井は同日、キョーリンの回答に対し、「真摯に検討し、改めて今後の対応を表明する予定」とのコメントを発表した。