厚生労働省の岡本充功政務官は20日の会見で、ポリオの不活化ワクチンの国内導入について、「まさか厚労省が製造販売して、売って歩くわけにはいかない」「われわれとしては、迅速に承認する意思はある。ぜひ、どこかのメーカーにお願いしたい」と述べた。
日本のポリオ予防接種は現在、ウイルスの毒性を弱めて作る生ワクチンを使っているが、弱毒化させても、ウイルスそのものはワクチン内に存在しているため、稀に麻痺症状などの副反応や、被接種者を介して、家族にポリオ麻痺が発生する可能性がある。
そのため、不活化ワクチンへの切り替えを提案する意見が、厚生科学審議会感染症部会からも出ている。
厚労省は今年4月、化学及血清療法研究所、阪大微生物病研究会、北里研究所、武田薬品の国内ワクチンメーカー4社に対し、当時の足立信也政務官名で開発を文書で依頼したが、製造販売の意思を示すメーカーが出ていないのが現状だ。
一方、ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチンに、不活化ポリオを付加した4種混合ワクチンについては、「ステップは進んでいる。一定程度メドが見えつつある」(岡本政務官)というが、患者団体からは、ポリオ単価の不活化ワクチンに対する要望が強く、緊急輸入を求める声もあがっている。
ただ岡本政務官は、「緊急輸入しても、販売する会社がなければどうにもならない。正直、どこか手を挙げてくれないかと考えている」と、メーカーの自発的意思に任せるしかないとの認識を示している。