静岡県と慶應義塾大学は16日、事業連携に関する協定を締結した。県立静岡がんセンターを拠点に、慶應大学と医学・看護・薬学・工学分野で連携し、分子標的創薬やバイオマーカーなどの研究を進め、難治性癌の新規治療法の開発を推進する。これまで静岡県と慶應大学は、癌専門医療人の育成等で連携してきたが、さらに協力体制を研究面に広げることで、地域の周辺産業活性化に弾みをつけたい考えだ。
静岡県と大学の連携は、2004年に協定を締結した早稲田大学、東京工業大学、東京農工大学に続き、慶應大学が4件目となる。県は医学部・看護医療学部・薬学部・理工学部を有する慶應大学と協力し、ファルマバレープロジェクトを推進させる。これまで慶應大学は、癌専門医療人の育成で連携し、静岡がんセンターに大学院生を派遣すると共に、代謝研究に強い鶴岡キャンパスと提携を行ってきた。
今回の協定は、研究面にも協力関係を広げるもので、特に癌の分子標的創薬やバイオマーカー研究など、難治性癌の新規治療法開発をテーマに、連携を深める計画を打ち出した。
同日、都内で記者会見した静岡県の川勝平太知事は、「アジアとの競争が進む中、健康産業は新しいフロンティアの一翼を担っている」と強調。「慶應大学との連携を実現したことにより、患者さん本位の医療の提供と地域産業の活性化につなげたい」と語った。
慶應大学の清家篤塾長は、「これまでの連携を研究面にも広げ、お互いの強みを生かしたシナジー効果を目指し、薬学部も含めた全般的な成果を上げていきたい」と意義を語った。