「むし歯」は約半数が持つ
文部科学省は、2010年度学校保健統計調査の概要を公表した。健康状態の調査では、1967年度以降続いている、喘息の全ての学校段階での上昇傾向に歯止めがかからず、幼稚園・小学校・高校で過去最高を記録した。鼻・副鼻腔疾患(蓄膿症・アレルギー性鼻炎など)は前年度より低下していた。
調査は、児童・生徒の発育状態と健康状態を把握するため、48年度以降、毎年実施されている。今回も、幼稚園から高校までの7755校を対象に、発育状況は69万5600人、健康状態は335万3292人を調べた。
健康状態を全体的に見ると、「むし歯」と「裸眼視力1・0未満」が各学校段階で1~2位を占めた。むし歯が1位は、幼稚園(46・11%)・小学校(59・63%)・高校(59・95%)で、中学校(50・60%)は2位だった。裸眼視力1・0未満が1位だったのは中学校(52・73%)、2位は幼稚園(26・43%)・小学校(29・91%)、高校(55・64%)だった。
67年度以降上昇傾向が続く「喘息」は、前年度と比較すると、全学年段階で増加し、幼稚園(2・75%)、小学校(4・19%)、高校(2・08%)と過去最高となった。中学は3・02%で、07年度の3・08%に次ぐ結果だった。67年度当時は、幼稚園0・29%、小学校0・25%、中学校0・08%、高校0・03%だったのが、10年前の00年度になるとそれぞれ1・33%、2・45%、1・81%、1・32%だった。
「鼻・副鼻腔疾患」の割合は、幼稚園3・74%、小学校11・67%、中学校10・67%、高校8・50%で、各学校段階とも前年度より低下していた。「心電図異常」は小学校(6歳)で2・48%、中学校(12歳)で3・36%、高校(15歳)で3・16%となっており、前年度と比べると小学校と高校では低下、中学校では上昇していた。
肥満傾向児の出現率を見ると、10%を越えた年齢は、小学校の10歳10・37%、11歳11・09%、中学校の12歳10・99%、高校全学年で15歳12・40%、16歳11・57%、17歳11・30%だった。9歳以降は10%近くか10%を越えるという結果だった。全体的には肥満傾向児は、低下傾向にある。
痩身傾向児の出現率を、前年度と比較すると、男子は5歳と6歳、16歳を除く各年代で低下、女子は8歳から10歳、12歳、15歳を除く各年齢で、変わらないか上昇している。特に高い傾向が見られたのが中学校女子で、12歳が3・92%、13歳が3・84%、14歳が3・09%となっている。
発育状況では、身長は男女ともに58年度以降、増加傾向にあったが、97年度から01年度辺りにピークを迎え、その後、横這い傾向となっている。10年度も前年度とほぼ同様の結果だった。30年前の親の世代(80年度)と比べると、最も差がある年齢は、男子では13歳で2・8cm、女子では10歳と11歳で1・9cm高くなっている。
体重は、男女とも58年度以降、増加傾向にあったが、98年度から03年度辺りにピークを迎え、その後、減少傾向にある。親の世代と比べると、もっとも差のある年齢は、男子で12歳が2・7kg、女子では11歳で1・7kg重くなっている。