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イノベーション25の推進に期待

2007年2月5日 (月)

 革新、刷新、改革といった言葉には、意識を高揚させる力がある。そのため古くから、技術革新、経営刷新などと様々な時代、場面で頻繁に用いられてきた。しかし、本来の意味で革新が実現しているかと言えば、首を傾げざるを得ない面もある。

 確かに機械の発達による産業革命、内燃機関の発明によるモータリゼーションの到来、航空機の誕生などは極めて革新的な事例であり、人類に大いなる発展をもたらした。また、ノーベル賞受賞者たちの功績も、後世に多大な影響を与えたという意味で革新的と言えよう。

 医薬産業界においても、これまで画期的新薬という高い評価の与えられた医薬品が開発され、人類の健康・生命に寄与してきた。だが、ここ数年の新薬開発は、雌伏の時期に入っている状況だ。

 安倍総理大臣が所信表明演説で政権公約とした「イノベーション25」を取りまとめるため、昨年10月26日に戦略会議の初会合が行われた。

 演説では、「成長に貢献するイノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報技術などの分野ごとに、2025年までを視野に入れた長期の戦略指針『イノベーション25』を取りまとめ、実行する」と述べている。重点領域の筆頭に挙げられていることからも、医薬分野のイノベーションに対する期待は、非常に大きいものと推察できる。

 イノベーションは従来のモノや仕組みなどに対し、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことと定義されている。第2回会合で提示された検討イメージでは、イノベーションを技術革新と新しいビジネス、新しい社会的枠組みと位置づけられている。イノベーションの対象には、単なる技術・モノの革新だけでなく、社会の制度、システム・仕組みまでも含まれており、成長に向けて、日本全体の大転換を図ろうとする思惑がうかがわれる。

 ちなみに参考資料では、健康領域における「イノベーションへの技術の萌芽」として、再生医療、テーラーメイド医療、DNAチップ診断、遠隔医療、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、人工臓器、マイクロマシン手術、照明治療という最先端技術が列挙されている。

 イノベーション25では、国民の声を聞くことを重要視し、有識者で構成される戦略会議を設置すると共に、昨年末まで国民からの意見募集も行われた。意見は首相官邸と内閣府のホームページから入れる「イノベーション25コーナー」に掲載されている。こうした国民の声は、戦略会議でも取り上げられた。

 今月にはイノベーションによって安全性、利便性を含めて国民生活がどのように改善されるのか、「2025年に目指すべき社会のかたちとイノベーション」が示される予定である。その後、総合科学技術会議などを活用して検討を重ね、6月には実現に向けた戦略的な分野ごとの政策ロードマップをまとめるとしている。

 国・政府が率先して新機軸を打ち出す場合には、何らかの誘導、圧力が加えられる恐れも懸念される。タウンミーティングが適例であろう。イノベーションによって、20年後に日本国民の明るい生活を保障し、成長を続ける社会を実現するために、決して同じ轍は踏まないでほしい。




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