チーム力で顧客ニーズに対応
クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパンは、国内最大のCSO事業を展開し、グローバル企業の強みを背景に、人材や営業システムを提供してきた。MR経験者の採用と合わせ、異業種から営業経験者を採用し、独自の教育研修でMRを育成するビジネスモデルによって、現在MR数は約1500人と圧倒的な規模を誇る。最近は、クインタイルズのマネジメントシステムを生かした「QM(クインタイルズ・マネージド)」によるプロジェクトの受注に取り組み、顧客ニーズに適合した体制を構築している。人事本部リクルーティング部部長の柴田浩司氏は、「クインタイルズの強みはマネジメント。CSOのリーディング企業として、お客様にトータルで成果を提供できる体制を取っていきたい」と話している。
即戦力を求める製薬企業が増加
クインタイルズのCSO事業は、人材提供というよりも、経験者や未経験者も含めたチーム力で、「顧客ニーズ」に対応しようとしており、その方針を踏まえて採用を行っている。柴田氏は「われわれは、クライアントのMRの一員として、医療施設での営業成果が求められると同時に、クインタイルズのMRとして、顧客ニーズを総合的に満たすことが課せられている。これらをきちんとできるかどうかが、採用のポイント」と話す。
最近は顧客である製薬企業側では、MR経験者を求める比率が高まってきている。また、未経験者と経験者を組み合わせたプロジェクトの発注もあるという。柴田氏は「以前に比べてMR経験者のニーズが増えており、製薬企業側がより高いスキルを求めている表れだ。即戦力を求める傾向は今後も続くだろう」との見方を示す。
営業組織単位でプロジェクト受託
こうした中、クインタイルズは、マネージャーから実働部隊のMRまで、営業組織単位で引き受ける「QM」プロジェクトを提案し、CSOビジネスの新機軸として受託拡大を狙っている。例えば、ある製薬企業の特定エリアについては、クインタイルズのマネジメントにより、未経験者と経験者の混成MR部隊が、営業活動を行うというシステムだ。治療領域単位での引き合いもあり、既に数件のQMプロジェクトが動き出している。
柴田氏は「マネジメントができるクインタイルズだからこそ、可能なプロジェクト」と強調。「われわれはCSOのリーディング企業であり、その意味で顧客ニーズを先取りしながら、対応できる体制を作り、常に一歩先を目指したい」と話している。
人材流動化するCROも視野に
一方、クインタイルズは、CRO事業で臨床開発のモニタリングを中心とした業務を受託している。世界最大のCROという圧倒的なネームバリューを背景に、グローバル試験に対応可能な体制を再構築。採用傾向も、モニターでグローバル試験などの経験者にシフトしているという。柴田氏は「製薬企業は従来、新卒中心の採用であり、経験者はCROから移動するケースが多かった。しかし昨今は、CROからCROに転職するような、CRO業界内での人材の流動化が増加しているようだ」との見方を示す。
かつて臨床開発職は、未経験者がCROで経験を積み、製薬企業に転職するキャリアアップの流れが一般的だったが、今は新卒者がCROに就職する傾向も見られる。また、「様々な領域、フェーズの治験を経験できるCROのメリットを認識して、若手で製薬企業から転職してくる人も出てきている」(柴田氏)という。現在、各社の開発パイプラインが進み、求人も旺盛な状況にあることから、今後もCROのビジネス機会は拡大すると見られている。
クインタイルズ・トランスナショナル・ジャパン
http://www.quintiles.com/locations/asia/japan/japan-overview/ja/