女性MRが薬剤師に情報提供

片岡氏
ファーマネットワークは、変化が進む製薬企業の事業戦略に対応し、専門性の高いCSO事業を展開している。長期収載品の販売支援、領域専門MR・製造販売後モニタリングMRの派遣など、製薬企業の営業活動を多面的にサポートする。昨年からは、女性MRを活用した薬剤師向けのプロモーション活動を開始し、新たなCSOの活用を打ち出す。昨年11月に新社長に就任した片岡惠連氏は、「今後1~2年は、サービスの品質強化と多様化に取り組み、その後、新規事業にトライしていきたい」との目標を語った。
ファーマネットワークは、2009年10月にイーピーメディカルとファーマネットワークが合併して誕生したCSO。コントラクトMR(CMR)も300人体制に強化され、サービスも充実してきた。製薬企業からの受託案件も増加傾向にある。
片岡氏は、CSOの市場動向について、「MRの生産性がこれまで以上に重視されるようになり、製薬企業がCSOを戦略的に活用していく時代に入った」と分析。これまでは新製品上市時や欠員補充などで、CSOを活用する例が多かったが、製薬企業がCSOの専門性やサービスの多様性を評価し、パートナーリングを構築する動きも見られるようになってきた。
こうした中、同社は、新たな診療領域に進出する製薬企業向けの市場調査や、長期収載品の販売支援、癌・中枢神経などの領域専門MRの派遣、東邦薬品との業務提携に基づくMS人材による中小病院・開業医市場のプロモーション、製造販売後調査(PMS)、医療機器のプロモーションなど、多岐にわたってサービスを提供している。豊富なラインナップを用意し、製薬企業の多様化するニーズを汲み取る戦略だ。
その一環として、昨年5月には、結婚や育児で仕事を離れている、女性MR経験者を活用した薬剤師向けのプロジェクトを開始した。製薬業界で営業経験のある女性MR10人で構成された専門チームで、病院の薬剤部や大手調剤薬局をターゲットに、情報提供活動を行う。
このプロジェクトでは、新たな契約形態として、面談回数に応じて報酬を支払う「コール数契約」を結んでいる。従来の期間契約よりも、製薬企業側のコスト負担を減らせる一方、MRも個人のライフスタイルに合わせて、自由な働き方ができるようにした。
片岡氏は、「製薬企業側も、薬剤師への情報提供が重要と認識しているが、自社で専門チームを組織していくのは難しい」との見方を示す。その上で、「面会相手が薬剤師であれば、日中の限られた時間内でも業務対応が可能であり、フルタイム就業が難しい女性MRでも強みを発揮できる」と説明。新たなCSOの活用法になると訴える。現在、完全業務受託方式でプロジェクトを展開しているが、「女性らしさを生かした情報提供ができている」と成果を強調。委託先の製薬企業も、プロジェクトを拡大したい意向を示しているという。
今後のテーマは、現在展開するサービスを、いかに強化し発展させていくか。片岡氏は「CSO事業は、CMRの採用、育成と動機づけ、プロジェクト管理が基本」との認識を示し、「社内で『仕組み化』『見える化』に取り組み、客観的に評価できる体制を整えたい」との考えを示した。MRが収集した医療現場の声や、委託先製薬企業の評価を踏まえ、業務プロセスの改善・向上につなげながら、未経験MRの早期戦力化から専門MRの育成まで、サービスの品質向上を図る。「個々のMR力と組織力を組み合わせ、成果の最大化を目指したい」と片岡氏。今後1~2年間は、サービス品質のさらなる強化とサービス拡張に注力し、新規事業の創出に向けた準備期間と位置づける。
将来的には、EPSグループのシナジーを活用し、開発支援から販売支援までの、総合的なソリューションサービスの一役を担い、製薬企業とのパートナーリングを構築していく方針だ。
ファーマネットワーク
http://www.pharmanetwork.jp/