消費者庁食品衛生基準審査課の高江慎一課長は、13日に京都市で開かれた日本薬剤師会学術大会で講演。まだ「研究段階」にある生成AIをプログラム医療機器に応用する際の課題として、新しい評価方法の確立、「もっともらしいうそ」を作り出してしまうハルシネーションへの対応などを挙げ、産学官連携のもと「さらなる整理が必要」との認識を示した。

AI技術を用いた機能を有するプログラム医療機器は、腫瘍性病変や脳動脈瘤、肺結節、肺炎等の検出などを目的とした画像診断支援関連のものを含め、国内で45製品あるが、学習したデータをもとにオリジナルのコンテンツを生み出す生成AIを活用した医療機器は「まだ研究段階」とした。
高江氏は、生成AIを活用する場合の課題として、生成AIを利用した医療機器の定義の必要性(具体的な活用の可能性、医療機器該当性に関する整理を含む)、新しい評価方法の確立、生成AIが誤認や論理の矛盾を含む事象や実際の事実とは異なる情報を作り出すハルシネーションなど既知の課題に加えて未知の課題への対応などを挙げた。
こうした課題への対応は、今年2月10日に開かれたSaMD産学官連携サブフォーラムでも議論になったという。現在は、「検討は進んでいる状況」としつつも、産学官連携のもと、「さらなる整理が必要で、かなりいろんな形で考えなければならない」と述べた。
ただ、米国の主要なIT企業は、生成AIの技術開発に巨額の投資を行うと共にビジネスを拡大させており、生成AIを活用したプログラム医療機器の導入は、「まだ研究段階で商用化は考えていないというステップだが、ひとたび動き出すと生成AIは何でもできてしまうので、今後、解決していかなければならない」とした。
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