新卒採用支援サイト「ファーネット」を開設
薬剤師の転職支援を中心に、医療系人材の紹介事業を手がけるユニヴ(吉田雅信社長)。大阪に本社を置き、東京、福岡、名古屋に支社を構える。スタッフは総勢30人で、それぞれの拠点を中心に全国をカバーする。同社の紹介手法は、求職サイトに登録した求職者に、コーディネーターがコンタクトをとり、人物像を把握した上で、求職者側ニーズと求人企業とのマッチングを行うなど、きめ細かな対応で求職者の信頼を得ている。昨年12月には、薬剤師求職サイトの名称を「ファーネットキャリア」にリニューアル。さらに、昨秋から薬学生向けの就活サイトとして、調剤薬局を専門とする「ファーネット」を立ち上げるなど、サイト名を「ファーネット」に統一し、求職者に向けたブランディング化を図っている。

比叡谷氏
新卒採用支援グループマネージャーの比叡谷司氏は、「地域に根づいた薬局の中には、知名度がないというだけで、新卒の人材確保が困難な状況が見受けられた」という。そうした現状を踏まえ、地域薬局と薬学生をつなぐ目的で、ファーネットを立ち上げた。
企業、エリアから薬局を検索でき、企業検索ではフリーワード検索をはじめ、薬局形態、諸条件などを入力する絞り込み検索もできる。会員登録(無料)すると、マイページやエントリー、ブックマーク、スケジュール管理、企業とのメッセージ交換、会社説明会の検索・予約など、就活に便利な機能が使える。就活情報などのコンテンツも用意し、必要な基本マナーから仕事選びのコツ、調剤薬局やドラッグストアの仕事内容などを分かりやすく紹介している。
薬学生向け就活サイトの多くが、大手企業を中心にしているのに対し、ファーネットは地域の中小薬局への求人提案でもある。比叡谷氏によると、地域の薬局の場合、新卒の採用は行っているものの、就職課や教授を介した偶然的な採用が多く、能動的な採用活動には至ってないところが大半だという。そこで、「地域に根づいた薬局を紹介することで、興味を持つ学生のエントリーを促し、結果として、1人でも2人でも優秀な薬学生の採用につながればいいと考えた」と話す。
サイトに掲載されている企業を網羅した「ファーネットBOOK」(旬刊)も各薬系大学に配置し、デジタル、アナログの両面からアピールを図っている。昨年4月に薬局向けの営業を開始して以来、小さな薬局からも掲載希望が増えたという。
昨年10月以降、ファーネットには約2000人の学生が登録している。「学生はいろいろな求職サイトに登録しており、登録だけで終わるケースもある」が、登録した学生に対しては、メルマガによる求人情報提供も行っている。
一方、学生と違って、転職希望の薬剤師は、どのサイトに登録したか覚えていないケースが見受けられている。そこで同社では、昨秋立ち上げた薬学生向けの「ファーネット」とサイト名を統一し、転職希望の薬剤師求職サイト名も「ファーネットキャリア」にリニューアル。ブランドの浸透を図っている。
転職希望者の場合、給与と勤務地を条件とする人が多いが、比叡谷氏は「転職のきっかけの大半は、人間関係によるもの」という。そのため、求人案件の付加的な情報として、将来性や待遇、職場環境、管理薬剤師・スタッフのスキルチェック、雰囲気、経営者の人間性など、コーディネーターが肌で感じた印象・評価を伝えることにしている。そうしたきめ細かな対応が評価を得て、コーディネーター1人平均で、年間100人の薬剤師を薬局側に紹介している。
現在、ユニヴへの求人登録数は累計で約1万件。薬剤師の登録数は年間約2500人。
比叡谷氏は「登録する薬剤師は20~70代と年齢層は幅広いが、8割が調剤薬局勤務を希望する方。そうした年齢やキャリアなども考慮したコーディネート体制をとるようにしている」と強調した。