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医薬品産業、復興の気概を持って

2011年4月15日 (金)

 3・11東日本大震災から1カ月が経過した。死者・不明者2万80 0 0 人となった今でも全貌が見えない地震と津波による甚大な被害と、その後のレベル7原発事故は決して悪夢ではない。夢なら醒めるが、これは現実だ。逆に言えば、現実ならば人の英知と努力によって何とかなる。

 生活の場はもちろん、医療や介護の現場も失った。もともと、医師をはじめとする医療スタッフが圧倒的に不足していた東北地方は、医療・介護の提供面で深刻な難局を迎えている。医療に必要な医薬品は、製造する製薬企業や流通を担っている医薬品卸の並々ならぬ努力によって、何とか現場に届けられているのが状況だ。

 これからは、医療の正常化へ向けた挑戦が続くことになる。医薬品の製造、流通に関しても課題は多い。まずは、崩壊した工場の代替拠点の確保など、安定製造体制を確立しなければならない。世界でもトップレベルの厳しいとされる日本の各規制だが、未曾有の災害時には、超法規的、時限的な特別措置の発動も必要かもしれない。質を担保できるなら、柔軟な政策で安定して医薬品の製造を図ることが求められている。

 安定製造の次は、安定供給だ。薬は現場に届けられて初めて力を発揮する。当初、医療現場、県、厚生労働省から、「とにかく薬を届けてくれ」と、強制力も含んだ要望が相次いだようだ。各医薬品卸は、ある面で支援・協力しながらも、社会的使命を果たすべく瓦礫の中に突入して届けに行ったことは、多くのメディアで報道されている。

 今後の大きな課題は計画停電、25%節電への対応だ。多くの電源を必要とする医療機器を使っている現場も、製造も流通も、今や電気なくしては成り立たないところまで行き着いてしまった。

 高度な技術、効率化を追求した結果であり、何も落ち度はないのだが、あまりにも電気に頼り過ぎてきたことは否めない。今回の貴重な経験を糧に、改めて事業継続計画(BCP)を練り直すことが必要だと痛感したことだろう。実際に医療機関・調剤薬局、メーカー、卸も今夏に向けた行動に移っている。

 1923年の関東大震災、45年には主要都市が焼け野原となり、原爆2発も投下された戦災からも見事な復興を果たした日本である。公共広告機構(AC)ではないが、想定を超えた今回の大震災も、ほぼ全国民が必ず乗り越えられると信じているだろう。

 住居や就労も大切だが、まずは健康でなければ事態は進まない。復興に全力で当たるための安心を届けるためには、医療の正常化、医薬品の安定供給は欠かせない。

 医薬品産業は日本の重要基幹産業の一つであり、絶対にこのまま沈んでいってしまってはいけない。官民一体となって日本復興の狼煙を、医薬品産業界から上げる気概を持って、将来に歩みを進めることが求められている。




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