小児の医薬品の誤飲が多く発生していることで、昨秋から計5回にわたって医薬品誤飲防止対策を協議してきた東京都商品等安全対策協議会は、「子供用水薬を中心とした医薬品容器の安全対策」とした報告書をまとめ、都に提出した。協議会では、誤飲対策の第一歩として、水薬用CR(チャイルドレジスタンス)容器の利用促進が必要だとし、誤飲防止への積極的な注意喚起・普及啓発と共に、薬局での導入モデル調査の実施などを提言した(詳細は11日号8面参照)
協議会では、医薬品誤飲防止に向けた国内外の取り組みも含め、様々な角度から検討が行われた。この中で誤飲防止対策の一つとして、消費者および事業者に、CRの考え方を浸透させていくことを主眼に置き、子ども用の水薬容器を協議対象とした。水薬は、一般薬では既にCR容器が採用されているが、医療用医薬品では一部に限られ、普及の余地が残されていることも理由にある。
提言の中では、今後取り組むべき事項として、「水薬用CR容器の導入モデル調査の実施」を挙げている。都および薬剤師会は、薬局や消費者に対し、CR容器に対する認知度を向上させると共に、利用拡大に向けての課題を一層明確化するために、水薬用CR容器を薬局・消費者が実際に使用して体験し、その効果の検証などを行う調査を行うことを求めた。
医療用医薬品における医薬品の容器は、厚生労働省の通知によって「貸与」の扱いとなり、医療機関や薬局では容器の代金を負担している場合が少なくないという。このため、水薬用CR容器も利用が拡大した場合には、それに伴う容器単価の上昇分は、薬局等の負担増加になることが想定される。診療報酬に絡んでの問題のほか、投薬容器の蓋や口の形状も製造事業者により異なり、安全キャップやカバーも様々といった、ハード面の問題もある。
特別委員として協議会に参加した開局や病院の薬剤師代表委員は、「今後は容器代が(保険上で)どう認められるかといった問題も浮上するかとは思うが、とりあえずは、薬局店頭で保護者の方に水薬誤飲防止のための医薬品管理の注意点、CR容器の存在ということを積極的に普及啓発できればと思う」(都薬常務理事の坂口眞弓氏)、「誤飲事故防止は医療チームの努力だけでも難しく、社会への啓発が非常に大事。国民全体が関心を持ち、それを契機に企業側の新たなCRシステム開発にも期待したい。病薬サイドも東京都、都薬と様々な面で調査等の事業に協力していきたい」(国立成育医療研究センター副薬剤部長の石川洋一氏)としている。
誤飲防止に向けては、医薬品の保管に関する薬局窓口での消費者啓発も欠かせない。まずは今後のCR容器の利用拡大に向けて、関係団体・行政が連携した環境整備を望みたい。