
旭化成・藤原社長
旭化成は17日、2011~15年度までの中期経営計画を発表した。中計で医薬医療事業は、血液凝固阻止剤「リコモジュリン」、骨粗鬆症治療剤「テリボン」の2新薬を成長ドライバーと位置づけ、グローバル展開を本格化すると共に、人工透析やバイオプロセス事業などの新興国展開を加速させ、最終年度の15年度には、医薬医療事業で売上高1800億円、営業利益250億円を目指す。さらに、医療と住宅分野を融合させた新事業を創出していく方針を打ち出した。
新中計で旭化成ファーマの医薬事業は、「リコモジュリン」と、11年に発売予定の「テリボン」の2新薬を拡大させることで、15年度には売上高1000億円規模を目指すとした。都内で開いた中期経営計画説明会で、藤原健嗣社長は「医薬事業は大きな変曲点を迎えている」と指摘。「リコモジュリンの拡大、テリボンの発売で新薬を立ち上げ、これらをテコに海外展開を考えていきたい」と述べた。
旭化成メディカル、旭化成クラレメディカルの医療事業は、人工透析とウイルス除去フィルター「プラノバ」の新興国展開を加速させ、中国やアジアへの拡販を強化する。
その上で、新しい社会価値を創出するため、グループ融合プロジェクトを立ち上げ、重点領域の医療領域では、「住・くらし関連事業」と融合させた新事業の創出を目指すとした。具体的には、集中治療室で用いる小型機器の開発などにより、高度化した救命救急医療のビジネスモデルを確立。さらに、住宅と医療をつなぐIT活用、細胞プロセッシングなどを活用した細胞・再生医療の実用化に取り組む。
藤原氏は「初めての分野であり、事業のプラットフォームが必要になる」と指摘。そのために、提携やM&Aを実行していく考えを表明。中計期間中の5年間で、新事業などに約4500億円程度の長期投資を実行し、特に医療分野の新事業に必要なM&Aなどへ、積極投資する姿勢を示した。
これら融合プロジェクトの新事業を上積みした医薬医療事業は、15年度に売上高2100億円以上を目指す。