
吉野新会長
日本OTC医薬品協会は16日に総会を開き、2011年度事業活動計画・予算などを承認すると共に、吉野俊昭氏(ロート製薬社長)の新会長就任を決めた。今年度事業では、OTC薬の費用全てを所得控除する独自制度の創設、スイッチ化の加速など、国に対してセルフメディケーションの活用を働きかける活動や、国民に対してセルフMの有用性をアピールする積極的な活動を通じ、OTC薬市場の活性化につなげていく考え。このほか、業界の総力を結集し、国内外のセルフMの普及やOTC薬の安全対策などの共通課題に取り組むため、一般薬メーカー4団体と連携して、新組織を設立していく計画も明らかにした。
新たな体制は、会長に吉野氏、副会長に塩野紀子(エスエス製薬)、三輪芳弘(興和)、佐藤誠一(佐藤製薬)、伊部幸顕(ゼリア新薬)、上原明(大正製薬)、高橋利夫(第一三共ヘルスケア)、杉本雅史(武田薬品)の各氏、理事長は鶴田康則氏。また、事務局人事も6月1日付で刷新され、事務局長に栗田深直氏、事業推進部長に大城直樹氏、顧問に西沢元仁、田頭恭博、湯浅総一郎の各氏が就任予定。なお田頭氏は、協会内に事務局を置くAPSMI(アジア太平洋セルフメディケーション協会)の事務総長も務める。
OTC薬協ではこれまで、民主党政権の新成長戦略にセルフMの推進を盛り込むべく、議員との意見交換を重ね、医療費の膨張抑制にセルフMの推進が貢献すること、スイッチ化促進が不可欠なこと、全てのOTC薬を医療費控除の対象とすることなどを提言してきた。
結果的に、これらを新成長戦略に入れることは実現できなかったが、「公的医療制度にセルフMを連動させる新たな仕組みを導入すること」「生活者にセルフMを促すインセンティブとして、全てのOTC薬の購入費を対象とする、新たな税制控除制度の創設」などの改革案の提言を、引き続き販売側・製薬関係団体と連携して、国策とするよう働きかけていく。
また、事業活動戦略会議の中の「セルフM推進プロジェクト」では、セルフMの有用性・重要性を示すエビデンス作りのため、カゼや高血圧などの疾患を対象に、東京医科歯科大学医療経済学研究室の協力による生活者調査を実施する。この成果として、セルフMの活用が健康長寿の実現、国民皆保険制度存続への貢献などに重要な役割を果たすことを、社会に幅広く発信することで、セルフMに対する国民的理解を得て、国策化を目指す。
一般薬5団体で新組織
団体との連携活動として、一般薬メーカー5団体(OTC薬協、日本医薬品直販メーカー協議会、日本漢方生薬製剤協会、全国家庭薬協議会、全国配置家庭薬協会)で新組織を設立していく案が示された。これら団体では、一昨年の新販売制度の準備段階から連携した活動を進めてきた。これをさらに前進させ、5団体で議論する場を確保し、情報交換や共通する課題の調整、共同した活動ができるよう、統一名称による団体を組織する。
新組織の名称は「日本一般用医薬品連合会」(案)で、事務局はOTC薬協内に置く。会長には上原明氏、副会長に三輪芳弘氏を予定し、会長・副会長、各団体の会長、OTC薬協の理事長および各団体等の推薦者で構成する代表者会議を設置する。既に他の4団体の賛同は得られているが、新組織の正式発足は各協会・組織の内部了承を待って決定する。