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流通改善、当事者全員の意思統一を

2011年7月8日 (金)

 6月30日、ほぼ1 年ぶりに「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」が開催された。いろいろな原因や理由があったにしろ、唯一の流通当事者による話し合いの場が1年間も設けられなかったことについては、本気で流通改善する意欲があるのかと首を傾げたくなる。3月の開催に向け準備を進めていたものの、東日本大震災の発生によって延期を余儀なくされたことは当然除くが。

 製薬企業、医薬品卸、医療機関・調剤薬局というメーカー、卸、ユーザーの3者では、医療用医薬品流通の“改善”に対する温度差が大きい。もしかすると、本当に改善を願っているのは卸だけで、メーカー側もユーザー側も対峙する課題によっては、現状維持でいいと思っているのではないかと、当日の流改懇を傍聴していて、ふと感じた。

 席上、厚生労働省から仕切価、割り戻し・アローアンス、納入価、一次売差の状況や総価取引、妥結率の現状について説明が行われたほか、卸とメーカーから流改懇緊急提言への取り組み状況が報告された。特に卸側からは、▽昨年度から試行導入された新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度とも絡んだ「総価取引の是正」▽新薬創出加算と価格交渉の関係がゴタゴタして後退した感のある「未妥結仮納入の解消」▽不十分な仕切価交渉などで前進しなかった「売差マイナスの改善」――といった、いわゆる3点セットについて現状と課題を説明した上で、メーカーと行政に要望を行った。

 対メーカーとの仕切価交渉、対医療機関・調剤薬局との納入価交渉と長期未妥結などで、上流・下流ともに対等な立場にない卸としては問題は多く、言いたいことは山ほどあろう。卸は、年1回の流改懇本体での話し合いを待っている状況にはない、切羽詰まった崖っぷちに立っている。 そこで、単品単価取引の原則化、契約条件の事前明示、価格交渉期間の設定と遵守のための措置、市場実勢価を踏まえた仕切価設定などを検討する作業部会の設置を要望したが、今後検討するにとどまった。

 除外品目なしの一律値引き全品総価取引がほぼなくなったことなど、個々の課題における詳細を別にすれば、医療用医薬品の流通改善は進んでいないと概括できる。この遅々とした状況は今に始まったわけではない。流改懇でも以前の流通近代化協議会メンバーに「課題項目が昔と変わっていない」と言われたことが紹介されたことでも分かるように、“近代化”も“改善”もしていない。

 卸の発表を受けて、未妥結問題について医療機関側から「われわれだけが悪いように聞こえる」旨の発言があったように、改善を進めようとするとメーカー、卸、医療機関3者の思惑が激しく交錯する。経営的な問題など三者三様の問題を抱えている現状を踏まえつつ、「何も進められない」という過去から続く汚名を返上するためにも、行政も交えた当事者全員の“改善”を実現するという意思の統一が何よりも求められる。




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