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AD治療薬の選択肢拡大に期待

2011年7月15日 (金)

 わが国の認知症患者数は約230万人に上り、その半数をアルツハイマー型( A D ) が占めている。65歳以上では8人に1人が認知症に罹患している。さらに、2025年には、認知症患者数が300万人を超すとされている。

 このような現況に対応するため、ADに関する様々な臨床研究が進んでいる。その成果として、脳のインスリン抵抗性とADとの関連性や、糖尿病患者のAD罹患率が健常者の約5倍であることなどの知見が報告されている。

 治療薬としては、日本ではこれまで、99年に発売されたアリセプトのみだったが、今年に入り、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの3剤が新たに上市された。

 アリセプト、ガランタミン、リバスチグミンは、いずれもコリン仮説に基づくもの。アセチルコリン分解酵素のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を阻害することで、脳内のアセチルコリンを増やし、記憶を改善させる。

 同じAChE阻害剤でも、それぞれ特徴がある。アリセプトは軽症から重症まで使用できるが、食欲不振や興奮作用などの副作用も見られる。ガランタミンとリバスチグミンは、軽症と中等症対象。ガランタミンは、悪心・嘔吐が強いが長期的な疾患の遅延効果がある。貼り薬のリバスチグミンは、本人が服用したがらない場合でも使用できる。

 メマンチンは、NMDA受容体拮抗作用に基づく薬剤だ。グルタミン酸の受容体の一種であるNMDA受容体をブロックして神経細胞死から脳を守る。作用メカニズムが異なるAChE阻害薬との併用も可能だ。

 いずれの薬剤も海外では約10年前に認可された薬剤だが、これらが揃うことで、症状の程度や特徴に合わせた薬剤の選択ができるようになったのは、患者やその家族にとって福音となるだろう。

 だが、これら薬剤は、あくまでもADの症状の進行を遅延させるものでしかない。

 その一方で、ADの原因物質とされるアミロイドβペプチドの除去などを目的とした治療薬の開発が注目されている。京都大学発のベンチャー企業「ファルマエイト」が開発中の「CU859」もその一つで、13年3月に第I相試験を開始し、15年に第III相試験の終了を目指している。

 ウコンに含有されるクルクミンのリード化合物の同剤は、カレーを主食とするインド人にAD患者が少ないことから見出された。

 さらに、根本的な治療としては、HGF(肝細胞増殖因子)を用いて神経回路の再生や神経細胞の死滅を防止するADの遺伝子治療の研究も進められている。

 これらの取り組みが成功し、AD治療の選択肢がさらに拡大することを期待したい。




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