
山口社長
日本ケミファの山口一城社長は13日、都内で開いた記者懇談会で、探索研究を進めている自社新薬の尿酸降下薬「NC‐2500」について、今年度中に導出したい考えを示した。現在、前臨床試験段階での導出交渉を複数社と進めているという。山口氏は「NC-2500の開発を着実なものにし、自社の尿酸降下薬を持つことで、高尿酸血症領域のフロントランナーになるというミッションの達成に向けて大きく前進させていきたい」と語った。
「NC-2500」は、尿酸を産生するキサンチンオキシドリダクターゼを阻害する新規化合物で、尿酸生成抑制薬に分類される。前臨床試験の結果では、同系統の化合物に比べ低用量で効果発現が見られることから、肝機能障害など副作用の軽減が期待できるという。
同社は、将来的な成長戦略に自社新薬の探索研究を掲げ、導出戦略を進めている。今回、尿酸降下薬「ウラリット」の長い販売経験に加え、5月に帝人ファーマから40年ぶりの新薬として「フェブリク」が上市されたことから、将来的に高尿酸血症領域の市場が活性化すると判断。新たな自社新薬として、「NC-2500」の開発を決定した。
現在、前臨床試験をほぼ終了した段階にあり、複数社と導出交渉が進められている。山口氏は「将来を背負う主力品候補」と期待を示し、「できれば今年度中には導出したい」と語った。当面は、高尿酸血症市場において、「ウラリット」と「フェブリク」で学術的な協働関係を進め、将来的には自社新薬の「NC-2500」で市場拡大を狙いたい考えだ。
「NC-2300」の開発戦略を抜本再考
一方、山口氏は、米国で骨粗鬆症治療薬として開発中のカテプシンK阻害薬「NC-2300」に言及。「まだ第I相試験の途中だが、残念ながら開発が期待通りに進んでおらず、導出開発戦略を抜本的に再考していく」との方針を明らかにした。今後、導出先である米ベルキュラ社と協議の上、早期に開発方針を決定したいとしている。