7月に、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の新会長となった関口信行氏(龍生堂本店代表取締役社長)は、16日に就任会見し、「医療に貢献するドラッグストアを目指して、取り組んでいきたい」との抱負を語った。JACDSでは「2015年に10兆円産業」を目指して活動を展開しているが、関口氏は「これまでは数字だけが一人歩きしていた。これからは質の高い医療サービスの提供など、医療におけるドラッグストアの役割も高め、1日でも早く10兆円規模の産業に作り上げていきたい」とした。
関口氏はこれまでのドラッグストアについて、「ディスカウントをもって、市場覇権を競ってきたのではないか」と指摘。そうした過当競争、価格競争だけでドラッグストアが進んでいくと、「生活者からはディスカウントストアと捉えられてしまう」とし、新たな医療システムや高齢化社会を踏まえて、「一歩抜けでなければいけない」と話した。
その上で、「10兆円産業実現には、ドラッグストアが地域医療等に参加することが必要」だと訴えた。これまでのドラッグストアは、どちらかといえばコンビニエンスストア的な位置づけだったが、関口氏は「これからは6年制薬学教育を受け、臨床を学んできた薬剤師が店頭に立つ。それだけに薬の専門家として、在宅医療などに参画し、地域の医療に貢献するドラッグストアを目指さなくてはならない。そうすることで、数字だけではない、質を備えた10兆円産業が出来上がってくると思う」と話した。
JACDSではそうした活動の一環として、今年度のテーマの一つとして「面分業元年」を掲げている。関口氏は「調剤併設のドラッグストアが段々と増えており、環境としては医療施設に一歩ずつ近づいている」と評価。「こうした流れは今後、もっと進んでいくと思うし、JACDSとしてもそうした環境づくりを行っていかなければならない」との方針を示した。
また、2年が経過したOTC薬の新販売制度については、「新販売制度で義務づけられた全てクリアするよう、取り組みを進めてきた。新たに誕生した登録販売者も薬局やドラッグストアに定着してきている」と振り返った。改正薬事法については3年の経過措置が来年5月で終了するが、関口氏は「行政もドラッグストアに対し、新たな時代に合った業態を求めてくる。薬局に対しても専門家による対面販売を厳しく取り締まるだろう」と見通した。その上で、「来年2~5月には新しいドラッグストア等が出てくると思う」とし、「法を遵守する秩序あるドラッグストアに変革していかなければならない」とした。