野田内閣の閣僚が2日、首相官邸で記者会見した。小宮山洋子厚生労働相は、「この内閣の理念は国民の生活第一」とし、特に生活の幅広い分野に関わる厚労行政で「しっかりリーダーシップをとりたい」と決意を表明。重点施策には、[1]東日本大震災の被災者対応[2]社会保障・税一体改革[3]雇用対策――の3点を位置づけた。
このうち一体改革については、「6月末の成案をもとにして、これから改革の具体化を進めていく」とし、医療、年金、介護の高齢者3経費に、子育てを加えた4本柱で改革することが特徴だと説明した。
また、「日本は世界で一番の超少子高齢社会。そういう中で医療、介護、子育ては機械ではできない。必ず人手が必要。そこでしっかりと雇用を生み出すことができると考えている」と述べた。これまで副大臣として取り組んだ子育て支援と雇用に着目し、「受け皿を大きくすることは、そこで働く人が増えるということプラス、今まで子どもが預けられずに働けなかった人が働けるようになる。子どもたちも良い環境があれば一石三鳥。厚労分野で成長戦略に関与できるところがたくさんある」と強調した。
このほか、国民に対する発信力の強化を課題に挙げた上で、「前の政権では(社会保障費の伸びを)毎年2200億円ずつ削って、医療、介護に問題が出たが、この政権は自然増はしっかり確保している。そうしたことを含めて、厚労行政をしっかりと国民に伝えていきたい」と語った。
さらに小宮山氏は、同日夜の初登庁後、記者団に対し、一体改革案の具体化のスケジュールとして、「次の通常国会に法案を提出する方向で進めたい」とした。東日本大震災の被災者への対応としては、生活支援をはじめ、医療・福祉、就労支援などに取り組む考えを表明。原発事故に伴う食の安全、住民および作業員の健康管理について「しっかり対応していきたい」との考えを示した。
来年4月の診療報酬と介護報酬の同時改定に関しては、日本医師会が東日本大震災を理由に見送りを主張しているが、政治主導で改定を行うかどうかについては、「専門家の審議会などでしっかり検討していただき、一部のところの意見に偏ることにならないよう、しっかりやっていきたいと思っている」と述べるにとどめた。