厚生労働省は22日付で、薬事・食品衛生審議会の部会報告品目と新キット製品6成分10品目を薬価基準に収載した。このうち1成分4品目が内用薬、5成分6品目が注射薬だった(表参照)
アナフィラキシー反応に対する補助治療に用いるアドレナリン製剤のエピペン(マイラン製薬)は、2003年に蜂毒の適応で薬事承認を取得し、05年に食物アレルギーに拡大したが、これまでは全額自費負担で使われていた。しかし、アレルギーを持つ子どもの親や学会から、保険適用の要望が出たため、医政局経済課がメーカーに働きかけて薬価収載に至った。プリックテストでアナフィラキシーの危険性が高い場合に保険償還される。
これまでも安価なアドレナリンがあったが、エピペンは簡便に自己注射できるキット製品という特徴があるため、原価計算方式で1万円程度の薬価をつけた。処方医に対する講習の実施と、未使用製剤の回収が承認条件となっており、メーカー側のコストも比較的大きい。
高脂血症用薬のリピディル(あすか製薬)とトライコア(アボットジャパン)は、既存のカプセル剤より水溶性が高い錠剤が加わった。吸収率が向上するため、カプセル剤の67mg、100mgに対して錠剤は53・3mg、80mgと8割程度の低用量になっている。
卵胞刺激ホルモン製剤のフォリスチム注(MSD)は、従来の300IUカートリッジ、600IUカートリッジに900IUカートリッジが加わり、在宅自己注射でより長期間使えるようになった。用法・用量は既存規格と変わらない。
切迫早産における子宮収縮抑制剤のマグセント(東亜薬品)は、これまでは100mL規格しかなかったが、初回に40mLを20分以上かけて投与した後に毎時10mLへ落とす用法・用量となっているため、新キット製品として40mL規格を加えて、より利便性を改善した。
抗癌剤のベクティビックス(武田薬品)も、100mg規格しかなかったところへ、用法・用量を踏まえて400mg規格を追加。カルバペネム系抗生物質のフィニバックス(塩野義製薬)は、1日最大用量を2倍に引き上げたのに合わせて、既存規格の倍となる0・5mg規格を加えた。