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【大阪大学産学連携本部】初期創薬組織、設立を構想‐大学の研究成果、民間へ

2011年10月26日 (水)

 大阪大学産学連携本部総合企画推進部は、「アカデミック医薬探索センター(CADD)」(仮称)の設立を構想している。大学の研究者による基礎研究の成果をもとに、医薬品として開発を進めるために必要な各種データの確立や、リード化合物の原型の探索など、研究の初期段階を担う組織。賛同者から出資を得て学外に株式会社を設立する方向で、実現への道筋を探っている。できれば今年度中に資金調達のメドをつけ、来年度から稼働させたい考えだ。

 構想している組織が担うのは、ドラッグディスカバリーと称される研究の初期段階。薬の標的を見つけ、適したアッセイ系を構築してスクリーニングを行う。見出した化合物をふるいにかけて、リード化合物の原型を選出する。さらに、薬理活性だけでなく安全性、物性、安定性などの各種データを揃える。ここまでを実施し、有望なリード化合物の原型を製薬会社やベンチャー企業に売却。以降の研究開発を委ねる。

 大阪大学教授・産学連携本部総合企画推進部長の正城敏博氏は、「これまで、大阪大学で見出された知財の企業への移転に取り組んできた。医薬品分野については、各研究者の知的財産の導入を製薬会社に打診してきたが、データ不足を指摘されることが少なくなかった。知財を買ってもらうにはデータを揃える必要があると考え、この構想に至った」と話す。

 一般的に大学の研究者は、論文にならない研究には取り組まない傾向が強い。しかし、医薬品開発を進めるには、薬理活性だけでなく物性など、様々な観点からの検討が欠かせない。必要なデータが揃っていれば、それを導入するかどうか、製薬会社は判断しやすくなるという。

 各製薬会社は重点領域を設定し研究を進めているが、製薬会社の関心が薄い領域でも各大学の研究者は、様々な標的分子を見出している。その機能や有用性を明らかにし、医薬品の開発につなげる役割を担いたい考えだ。

 他大学の研究成果も広く対象にする目的で、大阪大学から独立した株式会社として組織化する構想だ。大阪大学は基本的に株式会社に出資できないため、賛同者を見つけて資金を調達し、株式会社を新設する。その資金調達が最大の懸案事項で、現在、実現に向けて調整を進めている。このほか、国から資金を得られるなら、公的機関として設立する選択肢もある。

 組織のスタッフ数は10人以内、年に4件の新規テーマに取り組み、年間の運営費は2億円と想定する。各大学の研究成果を選出して自主的にドラッグディスカバリーを行うほか、製薬会社やベンチャー企業からの研究依頼も受けたい考え。

 実際の研究には、科学技術振興機構が大阪大学薬学部の施設内に設置した機器類を活用し、初期費用を抑える計画だ。ハイスループットスクリーニング、血液分析、遺伝子解析、プロテオーム解析などを行える機器が揃っている。産学連携促進のため、今年3月に配置された。



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