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【製薬大手4社・12年3月期中間決算】アステラス製薬が回復軌道に‐円高響き3社は減収減益

2011年11月07日 (月)

 国内大手製薬企業4社の2012年3月期中間決算(連結)が4日、出揃った。武田薬品と第一三共は、円高が響き、減収減益。エーザイも、主力品の米国特許切れが直撃し、約1000億円が吹き飛んだ計算となり、大幅な減収減益に落ち込んだ。一方、アステラス製薬は、「2010年問題」のマイナス影響が一巡し、業績の底から回復の兆しを見せ、増収増益に転じた。大手各社とも、円高や主力品の特許切れが響き、全体的に厳しい中間決算となる中、アステラスが一歩抜け出した格好となった。


 売上高を見ると、武田は、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」が10・0%増と好調に推移。新製品が寄与した国内売上高も4・4%の増収を確保したが、主力の2型糖尿病治療剤「ピオグリタゾン」は、日本での後発品参入やフランスでの製品回収などが響き、12・6%減。米国で後発品が浸透する消化性潰瘍治療剤「ランソプラゾール」も17・1%減と大幅に減少。円高のマイナス影響も大きく、全体では1・6%の減収となった。

 第一三共は、主力の高血圧治療剤「オルメサルタン」が1・8%増となったものの、合成抗菌剤「レボフロキサシン」が特許切れの影響で22・2%減。印子会社のランバクシーも、米国で抗ウイルス剤「バラシクロビル」の独占販売期間が終了したことが響き、20・6%の大幅減。円高のマイナス影響もあり、8・6%の減収となった。

 エーザイは、抗癌剤「ハラヴェン」が好発進し、癌領域製品が17・2%増と順調に売上を伸ばしたが、主力のアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」の米国特許切れが直撃し、52・7%減と約半減にまで落ち込み、売上高で約1000億円が吹き飛んだ。抗潰瘍剤「パリエット/アシフェックス」も、競合ブランド品の後発品浸透が影響し、10・0%減と振るわず、全体では19・7%の大幅な減収となった。

 これに対し、アステラスは、主力の免疫抑制剤「プログラフ」が米国で後発品の影響を受け、2・1%減となったものの、全世界で伸長したグローバル製品の過活動膀胱治療剤「ベシケア」が15・2%増、抗真菌剤「ファンガード/マイカミン」が4・8%増、買収した米OSIの売上も寄与し、4・8%の増収となった。

 12年3月期中間期は、円高の影響が大きく、アステラスを除く3社が減収に落ち込んだ。特にエーザイが直面した「アリセプト」の特許切れは、大手各社に「2010年問題」が本格化して以来、最大級のマイナス影響となった。

 一方、営業利益を見ると、武田は減収による売上総利益の減少が響き、4・8%の減益。第一三共はランバクシーの売上減が響き、31・0%の減益となった。エーザイも販管費の圧縮に努めたが、「アリセプト」の大幅な売上減が響き、24・9%の二桁減益となった。

 これに対し、アステラスは、増収に加え、導入一時金など研究開発費の減少により、売上原価率の上昇や経費増を吸収し、22・2%増と二桁増益を確保した。

 通期は、主力品が好調なアステラス、スイスのナイコメッドを買収した武田が統合効果によって増収予想としているが、第一三共とエーザイは、円高や特許切れの影響で減収予想。また営業利益も、アステラスが販管費の減少などで増益予想の一方、武田はナイコメッドの買収に伴う費用計上など、第一三共とエーザイも円高や売上減が響き、二桁減益となる見通しだ。



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