アリセプト激減で方針

内藤社長
エーザイの内藤晴夫社長は1日、都内で開いた決算説明会で、主力のアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」について、「今後の主戦場は日本と中国になる。東アジアの2大国で、どれぐらい売上を維持できるかがカギ」との認識を示した。特に国内では、2013年にファイザーとの共同販促契約を終了し、単独販売を開始することから、「13年度で売上高1000億円を確保するべく、競合ブランド品、後発品の両方と競争し、しっかり勝ち抜いていきたい」と語った。
米国で特許満了を迎えたアリセプトは、2012年3月期第2四半期決算で、約1000億円の大幅な売上減となった。当初、12年度までに約1050億円の売上減を見込んでいたが、米国内の社会的な逆風からDTCを中止した徐放製剤23mg錠の不振もあり、予想を上回る激しい後発品の浸透にさらされた格好となった。
内藤氏は、「米国での医療費・薬剤費抑制基調の中で、(処方薬の保険である)メディケアパートDによる大きな価格プレッシャーを受け、予想以上に価格が下落した」と分析。ただ、米国で売上が半減したものの、「現在でもグローバルで約半分のシェアを維持している」とし、「今後の主戦場は日本と中国」との認識を示した。
国内では、今月からアリセプトの後発品が上市されるが、同社は12年第4四半期までに、数量シェアで5%が後発品に侵食されると予想。11年度売上高1140億円を目指す計画を打ち出す。内藤氏は「後発品も高度の認知症の適応はない」として、アリセプトが高度の適応を持つ唯一の薬剤であることを強調。国内で高度適応の特許は13年6月まで有効なことから、「競合ブランド品、後発品の両方と競争し、しっかり勝ち抜いていきたい」と語った。
また13年からは、ファイザーとの共同販促契約を終了し、エーザイが国内単独販売を開始することも踏まえ、「13年度以降に売上高1000億円を確保すべくやっていく」と方針を語った。
一方、中国についても、相当のボリュームが期待できるとし、「東アジアの2大国である日本と中国で、どれぐらい売上を維持できるかがカギになる」と位置づけた。