厚生労働省は2日、中央社会保険医療協議会で、昨年来、一部のドラッグストア等で、保険調剤時の自己負担時にポイントを付与するサービスに対して「ポイントの付与を認めないことを原則とする」対応案を示し、中医協は、厚労省の考え方を支持して原則禁止で了承された。今後、規制に向けて「保険医療機関及び保険医療療養担当規則」「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」を改正し、来年4月から施行する。
調剤ポイント問題は、保険調剤時の自己負担の支払いに対してポイント付与するというもので、昨年の夏場から調剤併設型ドラッグストアなどが導入し始めた。後日、景品と交換したり、物販品の支払いにポイントを利用できるため、日本薬剤師会などは実質的な「負担金の減額にあたる」として是正を求める見解を示すなど、保険薬局関係者らを巻き込んで大きな懸案事項となっていた。
今年1月の時点では厚労省も保険調剤時のポイント付与などのサービスに対して自粛を求める通知を、地方厚生局や日薬、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)などに発出していた。その際、患者側の保険薬局選択は、「ポイント提供やそれらを強調した広告といった経済的付加価値ではなく、薬剤師が調剤や薬学的管理、服薬指導の質を高めることでなされるべき」としている。
ただ、ドラッグストア企業各社も、闇雲にポイントサービス付与を実施したわけではなく、事前に厚労省に確認したところ医療保険各法にポイントの提供、使用自体を規制する規定はないとの返答を得ていたという。そうしたことから、実質的に「ポイント付与は容認」と判断しての動きだったようだ。
JACDSは「原則禁止」が決まったその日、会員に対してその趣旨を報告する通知を出した。また、ポイント付与を行う一部のドラッグストア企業からも「決定事項ということで、来年4月をメドにポイントサービスの実施を取りやめる方針」との声も聞かれる。
今回、厚労省が結論的に示した考え方としては、▽公定されている調剤料や薬価の支払いに対して『薬局が独自に付与する』ことは医療保険制度上ふさわしくない▽ただし、患者の支払い利便性向上が目的であるクレジットカードや一定の汎用性のある電子マネーによる支払いに伴うポイントの付与は、やむを得ない――というものだ。
来年の診療報酬改定で、今回のポイント付与が値引き相当ということであれば、調剤報酬の引き下げの論拠になりかねないという側面もあっただけに、早めの対応措置を示した形なのだろう。ただ、薬学的管理や服薬指導の質に関係なく、クレジットカードや電子マネーによる支払いサービスを導入している薬局を患者が選択することは問題ないとする形ともとれるだけに、何ともすっきりしない。