中央社会保険医療協議会は14日、後発品の使用促進に向け、今までの審議されてきた内容をもとに、「後発医薬品の使用促進のための環境整備の骨子」をまとめた。
これまでに処方箋様式の変更、薬担等の改正、薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し、医療機関における後発品を積極的に使用する体制の評価などに取り組んできた。
しかし、政府目標「2012年度中の30%の達成」は難しい状況となり、入院、外来を問わず全体として後発品使用を進めていかなければならない。このことから、一般名処方を推進し、処方箋様式の再々変更も行うなど、今回は、処方箋を発行する医療機関側への“経済誘導”も行いつつ、使用促進を促すことになる。
一方の薬局側には、後発医薬品調剤体制加算に、さらに高いハードル「35%以上」を設け、“新3段階”に評価し、しかも“軽重”をつける。 今後、具体的な点数配分が決定されるが、やっと20%を達成した薬局にとっては、増える在庫への対応との絡みで、厳しい改正になる可能性もある。
後発品の使用が伸び悩んでいる状況だが、医療提供側の努力に加え、健康保険組合連合会など保険者も努力を重ねてきた。今夏、健保連の発表によると、加入者に対して後発品に切り替えた場合の医療費差額に関する通知サービスを実施している組合が約6割に達し、2年前の調査に比べ3倍以上に伸びたという。
今回の「骨子」でもこの努力は一定の評価はされたものの、やはり“タイムラグのない現場での情報提供 ”を重視。保険薬局での情報提供を強く求めていく方針だ。
同じく健保連が11月にまとめた国民意識調査では、後発品服用のきっかけの約4割が「薬局で薬剤師に勧められた」を挙げ、逆に服用しない2番目の理由にも“薬局・薬剤師”が登場しており、改めて「薬局・薬剤師の役割」がいかに大きいかが示されている。
今年3月、未曾有の大惨事・東日本大震災後の被災地での薬剤師の活躍は、チームとして働いた医師や看護師に頼りにされ、評価された。次第に裾野を広げつつあった薬剤師アイテム「お薬手帳」も一気に知名度を上げ、薬剤師の職能・活動が社会的に大きな注目を浴びた。薬剤師が医療法に名を連ねて以来、今年初めて、そのことが国民に広く、そして強く認知されたのではなかろうか。
先に今年を表す漢字に「絆」が選ばれた。2位以下に「災」「震」が控えていたが、国民の前向きな気持ちが1位に押し上げたのであろう。また薬剤師も、被災地活動を通じて国民との間に絆を得た。「信頼感」とも置き換えられるかもしれない。国民皆保険の堅持にも期待される後発品の使用促進。成否は信頼感を得た薬局・薬剤師の肩にかかっている。