協和発酵キリンは1月31日、新社長に花井陳雄取締役専務執行役員開発本部長が昇格するトップ人事を発表した。松田譲社長は相談役に退く。3月22日に開催予定の取締役会で正式決定する。新社長に内定した花井氏は同日、都内で記者会見し、「まず国内の営業基盤を固め、グローバルスペシャリティファーマの実現を目指したい」と抱負を述べた。
松田社長は、社長交代の背景について、「プロストラカン社の買収や富士フイルムとのバイオ後続品に関する合弁設立など、統合の第一段階を無事に終えることができた。来年からスタートする新中期経営計画を控え、今年が一番いいタイミングだと判断した」と説明。後継者に花井氏を選んだ理由については、「研究開発型企業を標榜している当社だけに、医薬領域での専門性を重視した。抗体医薬の第一人者で、数多くの化合物の開発責任者を務めてきた人材。最もふさわしい後継者だと思う」と高く評価した。
新社長に内定した花井氏は、「まず国内で収益構造をしっかり固めることが重要。自社初の抗体医薬品『KW‐0761』をはじめ、開発品の早期上市に力を入れていきたい」と方針を語った。
また今後、生産技術の最大化がテーマになるとの見方を示し、「新薬を出すことはもちろん、バイオ医薬の生産技術を使って事業を拡大する段階に入っている。その一つがバイオ後続品事業」とし、バイオ後続品を新たな成長の柱に位置づけた。
花井氏は、1953年生まれの58歳。76年3月に東京大学薬学部卒業後、旧協和発酵工業に入社。03年2月に米子会社「バイオワ」社長、07年4月に医薬研究開発本部長を経て、協和発酵キリンに統合後は、10年3月から取締役専務執行役員開発本部長を務めていた。