経済同友会は、政府が総合科学技術会議を改組し創設を検討している「科学技術イノベーション戦略本部」に関する提言を発表した。科学技術政策の司令塔機能を強化するため、文部科学省の企画立案機能を同本部に移し、一元化するよう提案。科学技術予算を成果に結びつけるため、研究領域を「科学」と「技術・応用」に分け、予算配分の方針や評価方法を見直すべきとしている。
提言では、国の科学技術政策について、▽年間4兆円近い予算に対する具体的な成果を強く感じられない▽省庁縦割りにより予算の固定化が起こり、研究テーマの新陳代謝が起きにくい▽研究開発の評価方法が曖昧なため、評価の結果が新たな政策に反映されていない――などの問題が生じていたと指摘。
その上で、日本の科学技術イノベーション政策を強力に推進するため、政府内で総合科学技術会議を「科学技術イノベーション戦略本部」に改組する方向で検討が進んでいることに触れ、同本部に司令塔機能を一元化するため、文科省の企画立案に関する権限を移すことを提案し、文科省設置法の企画立案に該当する部分の削除などを求めている。
また、研究領域を「科学」と「技術・応用」に切り分け、評価方法を明確化することも求めている。科学の分野では、長期的な視点を重視し、一定の予算を投資し続けることが重要になる一方、技術・応用の分野では、確実な成果を求めるため、競争的資金を中心とした研究開発の促進を行うべきとしている。