4月に施行される今回の診療報酬改定は、介護報酬との同時改定ということもあり、社会保障と税の一体改革で描く「医療から介護へ」「施設から地域へ」という将来像への第一歩と位置づけられる。そのため、診療報酬は全体を微増に抑える中で、在宅医療の強化をどう図っていくかが重要なポイントとなった。
調剤報酬においては、在宅医療の推進、薬学的管理指導の充実、後発品の使用促進が大きなテーマだった。
在宅での薬剤管理業務を推進するため、在宅患者調剤加算(処方箋受け付け1回につき15点)の新設をはじめ、在宅患者訪問薬剤管理指導料等によるサポート薬局の評価、在宅患者訪問薬剤管理指導料への距離要件の追加、無菌製剤処理加算の施設基準緩和――を実施する。
施設基準では、在宅患者訪問薬剤管理指導の届け出や麻薬小売業の免許のほか、必要な体制の整備を求める。具体的に必要な体制については、過去1年間に10回の在宅実績、医療材料等の供給、在宅処方箋を応需可能だと医療機関や福祉関係者へ周知することなどを定めている。
ハードルがやや高めに設定されている印象を受けるが、これから在宅医療を担う薬局のあるべき姿を示したと受け取ることもできる。薬局の積極的な取り組みを期待したい。
また、「薬剤服用歴管理指導料」が「薬剤情報提供料」(15点)を取り込む形で、現行の30点から41点に引き上げられた。算定要件には、お薬手帳による患者との情報共有を義務化し、残薬のチェックや後発品の価格・在庫情報等を患者へ文書で知らせることが新たに加わった。
この中の残薬確認に注目したい。昨年2月16日の中医協資料によると、在宅での飲み残し薬剤費は年400億円に上ると推計される。これは、今回の調剤報酬の改定財源300億円を上回る額だ。
単純に金額だけを見れば、自分たちの努力次第で改定財源を賄えるということになる。やや重装備となった算定要件の中に残薬確認が入ってきた意味をよく理解することが必要だ。
後発品の使用促進策では、医師が製品名ではなく一般名で処方した場合の評価として「一般名処方加算」(2点)が新設され、普及が加速する可能性がある。ただ、一般名処方は、在庫負担が軽減される代わりに、薬局が患者に銘柄を確認して初めて調剤が可能になる。今まで以上に懇切丁寧な説明を行うための能力が問われることになる。超高齢社会に対応して、効率的に医療を提供するには、在宅医療の充実や後発品の使用促進などは欠かせない。いずれも、古くて新しいテーマだが、今こそ薬局の存在感を発揮してほしい。