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イレッサVSタキソテールは“異種格闘技戦”

2007年3月28日 (水)

日本臨床腫瘍学会
日本臨床腫瘍学会

 最近、大きな話題となったゲフィチニブとドセタキセルの市販後第III相試験結果について、国頭英夫氏(国立がんセンター中央病院肺内科)は札幌で開かれた日本臨床腫瘍学会で、「もともとコンセプトの違う治療を比較する異種格闘技戦であった」とコメントした。

 この第III相試験は、ゲフィチニブの承認条件として実施されたもので、ドセタキセルに対するゲフィチニブの非劣性を明らかにすることが目的だった。しかし、非小細胞肺癌患者を対象に行われた試験では、全生存期間に有意差はなかったものの、結果的に非劣性を証明することはできなかった。ただ、副次的エンドポイントでみると、奏効率や長期の無増悪生存期間で、ゲフィチニブの有用性を示す成績が得られており、さらなる検討が必要との見解も示されていた。

 その成績を踏まえて、国頭氏は「非劣性が認められなかったことは一つの重要なポイント」とし、「副次的エンドポイントで、ゲフィチニブがドセタキセルに比べて奏効率やQOLで優れているが、その利点をもってしても、優先してゲフィチニブを積極的に選択することは推奨できない」とクギを刺した。

 この試験では、全生存期間の中央値がゲフィチニブで11.5カ月、ドセタキセルでは14カ月だったが、生存曲線をみると、投与18カ月付近で交差し、20カ月を超えるとゲフィチニブ群で生存率の高い結果が得られている。その点について国頭氏は、「症例数の設定根拠が甘く、無理がある。クロスオーバーがあるデザインであり、有意にどちらかが負けることは起こりにくい」と試験デザインを批判した。それでも、ゲフィチニブの全生存期間の非劣性を証明できなかった結果は重視すべきだとした。

 今回の試験で注目されるのは、奏効率がドセタキセル群の12.8%に対して、ゲフィチニブ群では22.5%と明らかに高かったにもかかわらず、全生存期間の延長はドセタキセル群が勝るという矛盾する結果が得られたことだ。奏効率で劣るドセタキセルが、全生存期間の延長ではゲフィチニブに勝るという結果をどう考えればいいのかが問題となった。

 そのカギを握るのが化学療法剤と分子標的薬剤の違いだ。サイトトキシックな作用を発揮する抗癌剤は、おしなべて奏効性を示す。一方、ゲフィチニブに代表される分子標的薬剤の場合は、効く患者と効かない患者が明確に分かれており、同じ抗癌剤でも作用の仕方が全く異なる。

 これこそが分子標的治療の特徴でもあり、もともとゲフィチニブとドセタキセルでは、効果と生存期間の現れ方に大きな違いがあったと考えられる。国頭氏は「今回の試験は、コンセプトの違う治療を比較したということだ。そもそもハザード比が経時的に変化するため、コックスの回帰分析になじまない試験であり、本来はこのような臨床試験をやってはいけなかった」と話し、この第III相試験を“異種格闘技戦”だったと総括した。




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