ヒューマンサイエンス振興財団は、2010年度の医療ニーズを調査し、注目される疾患の治療満足度や薬剤貢献度を分析した結果をまとめた。過去3回の調査結果と比べて、癌や関節リウマチ、炎症性腸疾患、パーキンソン病、HIV・エイズ、慢性C型肝炎等、アンメットメディカルニーズの大きい疾患で新薬の貢献度が高いことが明らかになった。
調査は、1994年度から約5年ごとに行われ、10年度は4回目。対象とした60疾患のうち、注目する疾患について調査結果の分析を行った。
「感染症」の薬剤貢献度を見ると、慢性B型肝炎が前回05年調査の55・4%から88・4%、慢性C型肝炎が50・0%から87・5%、MRSAが49・2%から75・7%、HIV・エイズが32・4%から81・8%と向上し、特にHIV・エイズの新薬貢献度が飛躍的に上昇していることが分かった。
「新生物」は、胃癌、大腸癌、肝癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、白血病の7疾患で薬剤貢献度が上昇。05年以前と比べると、最近5年で最も変化が大きい領域となった。胃癌を除く6疾患では、薬剤貢献度が20ポイント以上も向上しており、特に肺癌が15・5%から55・5%、乳癌が34・4%から68・3%、白血病が50・9%から91・3%と大幅に貢献度が高まった。これに伴い、治療満足度も10ポイント以上の高い上昇率を示した。