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TDMガイドラインの意義

2012年6月29日 (金)

 今月開かれた第29回日本TDM学会学術大会で、同学会と日本化学療法学会が共同で策定した「抗菌薬TDMガイドライン」の要点を箇条書きにしたエグゼクティブサマリーが公表された。

 これは日本TDM学会が2010年度から策定に着手した「TDMガイドライン」の一部。「抗菌薬TDMガイドライン」の根拠となる論文を解説した、リタラチャーレビューも近く公表される。

 このほか、抗てんかん薬、免疫抑制薬、循環器病薬(ジゴキシン)のガイドライン案が領域ごとにまとまっている。専門医が所属する臨床系学会に各案の審査を依頼し、パブリックコメント募集を経て年内にはこれら3領域の最終版を公表したいという。

 これまでTDMを実施する上で、目標血中濃度や採血のタイミングなどは各病院によってばらつきがあった。ガイドラインは、論文など科学的な根拠に基づき、TDMの標準的な実施手法を定めた。

 TDMに詳しくない薬剤師でも、一定の質を保ちながら業務を行えるようにすることが最大の目的。ノウハウがないためTDMを実践していない病院にもTDMが普及するように、また、専任のTDM担当者でなくても病棟担当薬剤師がTDMを広く容易に実践できるように、ガイドラインを利用してほしい考えだ。

 薬の有効性を引き出し、副作用の発現を抑えるために、患者個々に応じた適切な投与量と投与間隔を設計するTDMは、薬剤師の病棟での業務を支える重要なツールになる。

 80年代、意欲的な薬剤師は病棟に進出するツールとしてTDMを活用した。その後、薬剤管理指導業務の拡充に伴って、患者への服薬指導が病棟での中心的な業務になった。TDMはかつての勢いを失いかけたが、最近は再び注目を集めている。“医師の処方設計にいかに関わっていくか”に関心を示す病院薬剤師が増えてきたためだ。

 今春の診療報酬改定で新設された「病棟薬剤業務実施加算」でもこの方向性は重視されている。TDMは、同加算の算定に向けて重要な位置を占める。

 日本病院薬剤師会が同加算の指針として策定した「薬剤師の病棟業務の進め方」には、病棟薬剤業務の具体例として『副作用モニタリング、TDM等によって得られた情報を、医師等へフィードバックし、必要に応じて、処方変更等の提案を行う』『薬剤特性を踏まえたTDMや検査のオーダの依頼、または、医師との合意(包括合意も含む)のもとにオーダを行う』と記載されている。

 2年後の診療報酬改定で、薬剤師の病棟業務が評価される。医師の処方設計支援を広く実践し、より深い役割を担っていくことが必要だ。これは薬剤師の職能拡大にもつながる。処方設計に薬剤師が関わっていない病院では、TDMをきっかけに病棟業務を拡充してほしい。




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