野田第3次改造内閣が1日に発足し、三井辨雄前政調会長代理が薬剤師として初めての厚生労働大臣に就任した。同日夜の初閣議後の会見で、社会保障の機能強化と制度の持続可能性の確保に向け、「国民が満足できる、潤いのある社会保障制度の実現を目指していきたい」と意欲を示した。
三井氏は昭和薬科大学薬学部を卒業した薬剤師で、医療法人の理事長として病院や老人施設を開設するなど医薬分野に詳しい。厚労相就任に当たっては、民主、自民、公明3党の合意に基づいて医療や年金などの改革案を協議する「社会保障制度改革国民会議」の設置に関し、自公両党との調整を進め、「早急に、1日も早く立ち上げていかなければならない」との考えを示した。
また、厚労行政については「国民生活に大きくかかわる。責任の重大さを感じている」とし、若年層の雇用対策などにも積極的に取り組む考えも強調すると共に、「厚労省は多くの課題を抱えている」ともし、「しっかりとリーダーシップをとりながら全力で取り組んでいきたい」と抱負を述べた。
三井氏の起用について野田首相は閣僚名簿発表時に「厚労行政のエキスパートであり、社会保障・税一体改革の取りまとめでも節目で重要な役割を果たした」と評し、「社会保障制度改革国民会議での議論をリードする上でも手腕を振るってもらえると確信している」と述べた。
初閣議では首相から、国民会議の早期設置をはじめ、▽放射性物質の人体への影響▽医師不足、偏在への対応▽新型インフルエンザ、新興感染症への対応▽癌・難病対策▽ライフイノベーションプロジェクトの推進――など10項目にしっかりと取り組むよう指示があったという。
日本薬剤師会は同日付で「同じ薬剤師の資格を有する三井氏が厚労大臣に就任したことは歴史的なことであり大変誇らしく、今後の厚労行政のさらなる発展のため、そのリーダーシップを遺憾なく発揮されるものと期待している」との見解を発表した。
このほか、文部科学相には田中真紀子元外務相が就任し、枝野幸男経済産業相は留任した。国家戦略担当相(科学技術政策、経済財政策など兼務)には前原誠司前政調会長が就任した。
▽三井辨雄(衆)=北海道出身。昭和薬科大学卒業後、薬剤師免許を取得。1975年の三井薬品設立後は、北海道に3病院・2老人施設を開設し、医療法人交雄会理事長を務めてきた。2000年6月に衆議院議員選挙で初当選し、民主党国会対策副委員長や副幹事長、医療制度調査会事務局長、国土交通省副大臣などを歴任している。