先頃開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会で、持田製薬が製造販売する高脂血症治療薬「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)のスイッチOTC化が了承された。これまでいくたびか、スイッチ化へチャレンジした関係者にとっては、まずは胸を撫で下ろしたといったところだろう。
市場調査大手の矢野経済研究所は、今年6~9月にかけて国内有力OTCメーカー等を対象に調査した結果を、「OTC市場の展望と戦略2012年版」としてまとめている。それによると11年のOTC市場規模(指定医薬部外品含む、メーカー出荷ベース)は7850億円と推計しており、前年比2・0%増の微増ではあるが、2年ぶりのプラス成長となる。
このうち、一般薬の11年出荷額は6500億円で3・2%の増加だが、同社では今後の市場予測について、12年が6450億円、13年が6400億円、14年が6370億円、15年が6350億円と、マイナス成長を見込んでいるのは、薬業界関係者にとっては歯がゆいというか、悩ましい。
一般薬の新販売制度が始まってからも、いくつかの第1類が承認されており、中には予想したほどの結果に至ってない製品もあるようだ。しかし、第1類の伸び悩みが指摘される一方で、その販売に注力する企業では実際に数字を伸ばしている。
スギホールディングスグループのスギ薬局は、「調剤併設型ドラッグストア」を事業のコアモデルに、処方箋調剤に加え、医薬品・健康食品・化粧品のカウンセリング販売に力を入れる。OTC薬販売の売上高の中でも、伸び率が目立っているのが第1類で、今期(13年2月期)の第1四半期では、OTC薬全体の伸びが前年同期比1・1%増なのに対し、第1類は25・5%増なのが目をひく。
さて、今回の「エパデール」スイッチ化に関し、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では「1成分のスイッチに過ぎず、小さな一歩だが、初の生活習慣病改善薬であり、セルフメディケーション推進の観点からは“大きな一歩”であり、高い期待を寄せている」とのコメントを発している。今後はメーカー団体、薬剤師会とも話し合い、期待の商品を“育てる”ためのプロジェクトを立ち上げたい意向だ。
「第1類は面倒くさいから売れない、との声がドラッグ関係者にある。ただ棚に並べておけば売れる商品ばかり期待しているが、これでは第1類はおろか、OTC薬は育たない。これが育たなかったら、もう次はないとの気概で取り組みたい」とするJACDS。製配販が一体となっての販売力強化に期待したい。