4月5日に厚生労働省が公表した「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」。この冒頭で、使用促進の必要性として、患者負担の軽減や医療保険の改善、さらには医療費資源の有効活用を図ることで、国民医療を守ることを挙げている。
昨年度末までの目標値だったジェネリック薬(GE薬)「数量シェア30%」は全ての医療用医薬品を分母としていたのに対し、今回のロードマップでは長期収載品とGE薬を含めたGE薬に置き換え可能な医薬品を分母とし、2018年3月末までの数値目標として60%達成を掲げていることが新たな特徴でもある。これは5年間で約1・5倍増を目指すことになるため、現在の普及状況を踏まえても高い目標値となる。
併せて、業界団体に対してもGE薬供給ガイドラインの策定や、全てのGEメーカーに対する「安定供給マニュアル」の作成を課した。具体的には安定供給では品切れ状況の把握のため医療機関や保険薬局にモニタリング調査を行い公表する。GEメーカーに対しては、原薬調達や供給能力に関する計画作成を求めるほか、15年度中の品切れ品目ゼロを掲げる。GEメーカー側に対し、従来以上に、「安定供給」「品質に対する信頼性の確保」「情報提供」などの拡充を求めている格好だ。
ただ、こうした国を挙げてGE薬使用促進策を打ち出すという方針とは別に、考慮すべき点がある。07年10月に策定し、昨年度末までの目標値を設定して取り組んできた「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」の検証だ。数量シェア30%という数値目標の未達の要因、さらには過去5年間の使用促進による対医療費削減効果については明確な検証結果は報告されていない。
この5年間、診療報酬上の様々なインセンティブを付与することで、医療関係者によるGE薬使用は進んできた。また、多くの薬学関連学会などでは、医療機関や薬局におけるGE薬の導入に伴う薬剤費削減効果なるものは報告されている。ただ、あくまで個々の施設における現状の話にしか過ぎない。
これまでのところ、国はもちろん都道府県レベルでも、GE薬数量シェアの進捗状況は大きくクローズアップされ公表されているが、GE薬使用が、医療保険財源の抑制効果にどの程度寄与したのかといった具体的な金額は示されていない。
GE薬市場に限って言えば、大手と呼ばれるGE専業メーカー各社は、これまでの使用促進が負い風となり、ここ数年間は、ほぼ増収基調で推移。今期には連結売上高1000億円を達成する企業も登場しそうな勢いにあるなど順調に拡大しているといえる。
17年度末までの数量シェア60%を目標値として掲げ、その附帯の取り組みとしてGE薬の製配販をより盤石なものとする意味では意義あることだ。と同時に今後は、GE薬使用に伴う対医療保険財源軽減効果の現状報告が待たれるところだ。