2014年は、昨年12月の臨時国会で成立した改正薬事法と改正薬事・薬剤師法の施行をはじめ、4月には診療報酬改定と消費税増税が控えるなど医薬品業界にとって大きな変化の年になりそうだ。
改正薬事法では、最新の知見に基づいて作成した添付文書を厚生労働大臣に届け出ることを企業に義務づけ、安全性に関する情報を迅速に収集できるようにするなど、市販後の安全対策を強化する一方で、再生医療製品や医療機器の迅速な実用化と規制の合理化を図るための仕組みを導入した。
医薬品以外も扱うことを明確にするため、薬事法の名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改める。
一般用医薬品の新たな販売ルールを盛り込んだ改正薬事・薬剤師法は、昨年末に厚生労働省が施行規則を改正する省令案を公表した。
インターネットを含む通信販売の記載を、これまでの「郵便等販売」から「特定販売」に変更したほか、医療用から一般用への転用の仕組みを見直して新設した「要指導医薬品」や、第1類を販売する際に、薬剤師が作成する販売記録の内容を明確化。記録内容を記載した書面を2年間保存することを示した。
今後、法律の施行に向けて政省令の改正や告示、施行通知の整備が急ピッチで行われることになるが、これらのうち一つでも誤ると「法律は改正されたが運用は改善されず」という事態に陥る。業界全体で注視することが必要だ。
昨年末の予算編成では、診療報酬本体を消費税の引き上げによるコスト増への対応分を含め0・73%引き上げると共に、薬価と材料価格を消費税対応分を含めて0・63%引き下げ、全体の改定率を0・1%のプラスとすることが決まった。
ただ、消費税引き上げ対応分として1・36%(診療報酬全体0・63%、薬価等0・73%)が含まれており、これらを除けば実質1・26%のマイナスとなる。
マイナス改定は6年ぶりのことで、限られた財源をめぐる分捕り合戦や、算定要件の厳格化をはじめとする“適正化”が進められることが予想される。
14年度薬価制度改革では、製薬業界が求めていた新薬創出加算の恒久化が試行継続となり、長期収載品の薬価引き下げルールも決まった。後発品もルール変更によって価格帯の集約化などが進み、企業は戦略の見直しを迫られるかもしれない。
医薬品業界も大きな変化の波に洗われる時が来たと感じるかもしれないが、どの制度改正にも共通しているのは“医療への貢献”というキーワードだ。
薬局や薬剤師は、セルフメディケーションの支援をはじめとする地域医療への貢献、製薬企業は安全で有効な医薬品をいち早く医療現場に届けるという信念を持ち、大きな波を乗り越えてもらいたい。