
代表理事の吉岡氏(左)と理事の篠原氏
地域の中で薬剤師が職能を発揮し、薬局がその機能を果たすことで、健全な地域社会づくりに貢献するコミュニティファーマシーを創造していきたい──として、「一般社団法人日本コミュニティファーマシー協会」が先頃、薬剤師有志らにより設立された。同協会では発足後、初めてのイベントとなる「第1回コミュニティファーマシーフォーラム・地域とともに歩む薬局~ドイツと日本における実践」を今月25日に都内で開催するが、現在参加者を受け付けている。
日本コミュニティファーマシー協会(Japanese Association for Community Pharmacy、JACP)の代表理事を務める吉岡ゆうこ氏は、薬剤師および薬局スタッフの研修・教育事業を手がけるネオフィスト研究所を2000年に設立。その翌年には薬剤師や薬学生と共に、これからの薬剤師のあり方を考える研究組織として「次世代薬剤師を育てる会」を立ち上げ、セミナー等の活動を行ってきた。
次世代薬剤師を育てる会では、第一線で活躍する講師を迎え、薬学教育から医薬品情報、緩和医療、海外の薬剤師の現状など、薬剤師の職能向上を視野に幅広いテーマで計27回のセミナーを実施してきた。そして昨年からは、ドイツの薬局と日本の薬局の優れた機能を融合した“日独融合型薬局”を創造することで、これからの日本の高齢社会に適合した薬局機能を構築し、健康な地域社会づくりに寄与したいとして、会の名称を「日独融合型薬局推進フォーラム」に刷新し、活動を続けてきた。
これまでの活動を、さらに広く浸透させるべく、今回新たな協会設立に至った。吉岡氏は「これからの時代にふさわしい薬剤師、薬剤師像を医療関係者、地域住民、さらには地域そのものに訴求する様々な具体的なアクションプランをJACPでは提唱していきたい」とする。
そのアプローチの手法として、長い歴史の中で“街の薬局”として厳然として機能してきたドイツの薬局業態を範に、その長所を日本の薬局に取り入れていく。最も重要な生活者、患者の立場と思いを理解した施策を講じることで、薬剤師と薬局の役割と責任を明確に表現し、活動する。こうした薬剤師が運営する“日独融合型薬局”という新しい業態提案を増やしていくことを目的に挙げる。
具体的な支援策としては、店舗デザイン・設計、ドイツ製品および店舗演出のための薬壺など販促グッズの輸入・販売、ドイツ薬学視察ツアー等の各種視察研修、コミュニティファーマシー育成のためのセミナー・シンポジウム等の開催、JACP会員薬局主催の地域住民向け講座のパッケージ提供および出張講座の請負、定期刊行物の発行、会員薬局の交流会──等が予定されている。
JACP役員は吉岡氏のほか、アッセンハイマー慶子(独セントラルアポテーケ開設者)、城戸真由美(ネオフィスト研究所)、篠原久仁子(フローラ薬局開設者)、浜田康次(日本医科大学千葉北総病院)の各氏(いずれも薬剤師)が理事として名を連ねる。事務所は東京都新宿区四谷1の3、望月ビル3階、TEL03・3354・0288(http://www.ja-cp.org)
同協会では、初のフォーラムを25日午前11時から、東京四谷のスクワール麹町で開催する。永井記念薬学国際交流財団の永井恒司理事長による「医師が処方し薬剤師が調剤する─医薬分業の主軸は処方監査である」と題した特別講演、コミュニティファーマシーの実践例として、アッセンハイマー慶子氏が南部ドイツ小都市での薬局活動、篠原久仁子氏が茨城県笠間市での薬局活動をそれぞれ講演する。さらに吉岡氏を加えてのパネルディスカッションも予定する。
参加費はJACP会員5000円、非会員1万円、薬学生2000円。フォーラムの詳細および協会の概要は、前記ホームページを参照。