新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「深部治療に対応した次世代DDS型治療システムの開発研究」の委託先を決めた。
採択されたのは、▽相変化ナノ液滴を用いる超音波診断・治療統合システムの開発(委託先:日立製作所、東北大学、京都大学、神奈川科学技術アカデミー、慈恵医科大学)▽革新的DDSと光ファイバー技術を融合した光線力学治療システムの研究開発(東京大学)▽多機能化相変化ナノ液滴(長時間滞留、複メカニズムによる治療)の開発(帝京大学)””の3テーマ。
DDSと、超音波や光・レーザー、放射線、磁場など外部エネルギーを用いた治療システムを融合することで、リリース機能や局所濃度の向上、細胞内誘導の促進が期待されている。委託事業では、外エネルギーと薬物の組み合わせで、難治性で比較的深部の肺や膵臓などの疾患に対し、二つの治療システムの開発を行う。
一つは「革新的DDSと光ファイバー技術を融合した光線力学治療システム」。生体に安全な光エネルギー刺激によって、薬効を発現する薬剤(光増感剤)を癌細胞に選択的に送達するDDS開発と、体内のあらゆる腫瘍に対し、低侵襲・効率的に光照射を行うことのできる光ファイバー、光照射装置の開発により、正常組織にダメージを与えることなく、難治性癌を根治できる治療システム開発を目指す。
もう一つは「相変化ナノ液滴を用いる超音波診断・治療統合システム」。表在部・腹部・泌尿器科領域などを対象にした腫瘍部位を想定し、診断用でかつ治療用としても機能するマイクロバブルを、目的部位だけで生成させ、治療標的部位を事前に画像診断によって確認した上で、治療用超音波による加熱凝固作用などの物理的作用を用いて、部位選択的な治療診断・治療統合システムの開発を行う。