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薬学的知見、指導で問われる真価

2014年7月25日 (金)

 6月12日に施行された改正薬剤師法では、第25条の2で「薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売または授与の目的で調剤したときは、患者または現にその看護に当たっているものに対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」とされ、服薬指導義務が明確化された。

 調剤を行った場合、これまでの情報提供にとどまらず、きちんと指導まで行うよう法律で義務づけた意義は大きいと考えられる。薬剤師による患者への指導が当たり前に行われ、それが国民に浸透することにより、「薬剤師から説明、指導を受けたことがない」「服薬指導は必要ない」との認識を変えていける可能性がある。

 ただ、薬学的知見に基づく指導がどういった内容なのか未だに不明な部分が多いというのが現状ではないか。日本病院薬剤師会は、5月に「必要な薬学的知見に基づく指導の考え方」を作成し、“薬学的指導”を実施するに当たっての基本的な考え方や留意点を示している。

 それによると、これまで外来患者に対しては、調剤した薬剤の交付時に情報提供を行ってきた一方、入院患者への情報提供は、必ずしも処方箋発行のタイミングとは関係なく指導が行われてきたと指摘。入院患者では調剤と患者に薬剤を交付するタイミングに時間的なズレが存在しているとし、入院患者に一層きめ細やかな“薬学的指導”を実施することが求められているとの見解を示している。このように、今後は保険薬局、医療機関の現場において、それぞれ実情に合った薬学的知見に基づく指導を実践していく必要に迫られている。

 もう一つ最近、医療現場で求められているキーワードが“薬学的診断”に基づく助言である。薬物療法の適正使用に関して、薬物動態学、薬理学など、薬学が得意分野とする学問を生かして副作用の予兆などを判断したり、処方設計へ反映させるというものである。

 薬学教育6年制になって臨床能力やコミュニケーション能力の重要性がクローズアップされる一方で、サイエンスに基づき、薬学的判断を行った結果を医師に助言したり、患者に説明することが最も重要な薬剤師職能との声もある。大学病院で抗癌剤や免疫抑制剤のハイリスク薬を院内処方に切り替えたことが大きな議論になったのも、薬学的知見に基づく指導をどこで実践するかということが焦点になっていたのかもしれない。

 それぞれの現場における薬学的知見に基づく指導は、まだスタートしたばかりだが、今回の法改正によって、薬剤師が「必要な」薬学的知見を駆使し、それに基づき指導を実施することが患者にとって当たり前になるという期待感は大きい。この期待を膨らませるか、しぼませてしまうかどうか、本当の法改正の真価が問われている。




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