今、日本列島はまさに選挙一色の様相を呈している。29日投票の参議院議員選挙は、日本の将来を決める重要な選挙だけに、各候補とも政策や支援を訴える声が日に日に増している。年金をはじめ、様々な問題がクローズアップされている中で、国民がどのような選択をするのかが注目される。
特に、医療をめぐる制度改革の議論は秋以降、議論が本格化する。選挙結果次第で、議論にも影響を与えることから、その結果が気になるところだ。
さて、われわれ薬業界で最も注目されているのが薬価制度改革の議論だが、6月27日開催の中央社会保険医療協議会薬価専門部会において、厚生労働省は「08年度薬価制度改革に関する主要検討事項案」を示した。
それによると、▽イノベーションの評価▽採算性に乏しい医薬品の評価▽市場拡大再算定のあり方▽後発品の使用促進▽その他(キット加算と有用性加算の関係をどうみるかなど)――という五つの事項が大きな論点として挙がっている。
このうち、業界がかねてから主張し続けてきた「イノベーションの評価」に関しては、▽画期性加算や有用性加算の加算率や加算要件などの取り扱い▽原価計算方式における有用性の評価のあり方▽市販後に真の臨床的有用性を検証した場合の評価▽競合品のない新薬の薬価が循環的に下落する問題――などが論点として盛り込まれた。
「採算性に乏しい医薬品の評価」では、小児加算、市場性加算の加算率、加算要件だけでなく、小児・希少疾病といった採算性の乏しい効能・効果を追加した場合の評価や、▽外国と大幅に薬価が異なる薬効群の医薬品について、その上市、供給に係るコストの適切な評価▽古くても医療上有用で必須な医薬品の評価――などの点が検討事項とされた。
「市場拡大再算定のあり方」については、効能追加に伴う市場拡大再算定ルールを検討事項に位置づけた。具体的には、効能追加の有無にかかわらず再算定の対象を決める仕組みや、市場拡大再算定類似品の範囲見直しなどを検討することを盛り込んでいる。
注目される「後発品の使用促進」では、処方せん様式の変更、薬価収載頻度などを明記。収載頻度については年4回への拡大などを検討するとし、処方せん様式の変更などは、中医協の診療報酬基本問題小委員会を中心に議論することとされた。
なお、薬価改定頻度については、厚労省の医療用医薬品の流通改善に関する懇談会の報告をもとに「秋以降に検討を進める」と明記されている。
こうした論点について、事務局である保険局医療課の磯部総一郎薬剤管理官は「“イノベーションの評価”と“後発品使用促進”を中心に検討事項を提示した」との考えを示す一方で、「市場拡大再算定のあり方」を論点に加えたことは、業界に厳しい提案になる可能性を示唆した。
この中には、メリハリのある改革を進めようという思惑が見え隠れするものの、特に市場拡大再算定は業界側の反対が根強いのも事実。
また、長期収載品については、「現段階では主要な検討事項とは考えていない」(磯部薬剤管理官)とし、今回の検討事項案には盛り込まれていない。だが、この点はいつも議論の対象となっていたこともあり、目が離せない点でもある。
いずれにせよ、薬価制度改革の結論は今年12月半ばには出さなければならない。まずは8月1日に予定されているヒアリングに業界がどのように臨むのかが注目されるところだ。