富士通は、東京大学先端科学研究所、興和との共同研究を通じて、スーパーコンピュータの計算能力を活用し、実験なしで癌の標的蛋白質に高い阻害活性を示す新規低分子化合物の設計に成功した。富士通未来医療開発センターエグゼクティブリサーチャーの松本俊二氏は本紙のインタビューに、「従来の実験手法とほぼ同等の活性を示し、実験では出てこないような新たな化合物をつくることができた。スパコンが持つ計算パワーが大きく寄与した」と意義を語る。
同社は、2004年にIT創薬を手がけ、今年で10年を迎えた。東大先端研と興和の3者による共同研究では、癌標的蛋白質に対してコンピュータ上で148個の化合物を設計し、二つのヒット化合物を得た。未来医療開発センター研究開発統括部バイオIT開発部マネージャーの紙谷希氏は、「失敗の繰り返しだった。製薬企業からも認めてもらえる成果」と胸を張る。
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