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【2014年回顧と展望】セルフM定着へさらに邁進‐OTC薬協顧問

2014年12月26日 (金)

日本OTC医薬品協会顧問 西沢元仁

西沢元仁氏

 今年も慌ただしく幕を閉じようとしている。自民党が政権に復帰した際、政権公約にセルフメディケーションが表記されたのを嚆矢とし、アベノミクスと称される経済戦略に、健康寿命の延伸に向けた産業の振興が盛り込まれ、政府の示す「日本再興戦略」にも、セルフメディケーションが盛り込まれ、今年の改訂版でもこの骨組みは引き継がれた。

 政権交代への期待と、大胆な経済緩和措置の実施を通じ、長らく続いた経済閉塞感が打破され、マクロ経済において回復の方向が感じられるに至った。他方、医薬品流通業界においては、政権交代前の3党合意に基づく消費税率改定の実施による仮需の発生と、4月以降の消費減退が天候不順とも絡んで長引いているとの声が大きい。

 セルフメディケーションを推進する上で、これまでの啓発のみでは生活者の行動変容に至らないとの反省を踏まえ、自らの健康に関心を持ち、その維持・増進に努める生活者に着目したインセンティブの創設に向けた努力の1年だった。

 従来の医療費控除では、セルフメディケーションを主体とした取り組みを進める30代から50代の世帯では、原則10万円の足切りがあるため、その恩恵を被ることがほとんどできなかったので、OTC医薬品購入費が一定金額を超える世帯については、その超過額について所得控除の対象とする制度の創設を、日本一般用医薬品連合会と日本製薬団体連合会の支援を得て、厚生労働省に提出し、同省の重点事項として政府・与党の審議にも供されるに至った。

 例年であれば、12月初めには翌年度予算案に呼応する形で税制改正大綱が示されるが、アベノミクスに対する国民の理解と応援を求め、急きょ解散総選挙となったため、選挙後の決定を待つこととなっている。

 この取り組みのほか、セルフメディケーションが生活者個々人のみならず、家族や社会、そして地域にとっても、医療費をはじめとした負担の軽減をもたらすことへの理解を深めてもらうべく、指先穿刺による微量採血検体でのヘモグロビンA1c検査を利用した糖尿病および血糖値異常への関心喚起などにも取り組むほか、従来から推進してきた様々な啓発活動や、OTC医薬品にかかる安全性、有効性そして品質の向上にも引き続き取り組んできた。

 とりわけ、一般薬連への当協会を含めたOTC関係5団体の結集と、連合会を通じた活動は、今年7月に一般薬連の組織強化等が実施されたことに伴い、一層の強化が果たされた。当協会がこれまで担ってきた「広告審査会」活動の支援や、「セルフメディケーション・ハンドブック」の編纂刊行等も一般薬連に移譲され、5団体が結束して対応することが進んでいる。

 来年(2015年)、当協会は創立30周年を迎えるが、恐らく将来において振り返ってみた場合、14年は大きな転換の年であったと見なされるのではないだろうか。06年改正での郵便等販売に対するネット販売業者からの提訴と、高裁・最高裁での国側敗訴を受け、13年には、薬事法の見直しが行われ、別途進展していた再生医療等や医療機器の国際化に向けた改正と合わせ、2度の法改正が国会で可決された。14年6月に販売制度が、11月には再生医療等に係る薬事法改正が施行され、長らく親しんできた「薬事法」という名称が改正され、略称「医薬品医療機器等法」が導入されるに至った。

 国内的には、前述のような取り組みが進んだわけであるが、国際的には、アジア太平洋セルフメディケーション協会(APSMI)の第2回総会がタイ国プーケット市で開催され、第3代会長へ引き継ぎされると共に、第1回のアジア太平洋地域OTC医薬品規制庁会合(Self‐CARER)が開催された。新薬分野ではICHが日米欧の3極による活動を進めてきており、新薬審査担当官の交流も進んだのに対し、OTC審査部門の相互交流の機会がほとんどなかったことから、この行政官会合を通じた域内のOTC審査の進展に対する期待が様々な分野から示された。

 プーケットでのAPSMI総会では、ASEAN諸国およびAPSMI加盟5カ国のOTCおよび関連セルフケア製品関係の法制や市場等の紹介が行われ、わずか2日間の日程であったが、参加者にとって貴重な学習の機会となった。併せて開催された世界セルフメディケーション協会(WSMI)の理事会においても、より積極的な取り組みを目指す新会長との真摯な対話が多数の理事と行われ、日本に対する大きな期待が示された。

 15年は、年末の総選挙の結果に基づき、さらなる経済循環改善に向けた前向きの取り組みが加速されるよう期待し、その一環としてセルフメディケーションを支援する所得控除制度の創設がなされることを期待する。また、協会創立30周年を迎え、新たな長期計画となる「グランド・デザイン」を取りまとめ、過去を振り返る30周年誌と共に、内外に公開した上、関係者の賛同と支援のもとに、課題の克服と生活者支援の拡大を図っていきたいと考えている。




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