新年に入り薬業関連の賀詞交歓会で、セルフメディケーション推進への期待を込めたあいさつが相次いでいる。閣議決定された日本再興戦略に、セルフメディケーションの推進等が挙げられているのが理由だが、最も重要なのはこれをいかに実現させるかで、ある意味で薬業界関係者にとって、今年は従来以上に真剣な取り組みが課せられたと言えなくもない。
セルフメディケーションに取り組んでいくためには、まず適切な情報提供が欠かせない。そして医療・薬学関連も含めた専門家の関与、アドバイスも望まれる。日本再興戦略では、戦略市場創造プランの一つとして「国民の健康寿命の延伸」がテーマとして掲げられ、これを解決する方向性として“健康寿命の延伸に向けたセルフメディケーションの推進”が示され、自己健康管理に必要な健康増進・予防や生活支援を担う市場・産業を創出・育成する必要性が提起されている。
国民の健康寿命延伸に向けた戦略では、セルフメディケーションを含むヘルスケアによる産業規模が、2030(平成42)年には30兆円規模まで拡大することを示している。ここでいうヘルスケア関連市場とは、医療機器、医薬品、再生医療、健康寿命延伸産業(健康増進・予防サービス、生活支援、健康食品、旅行・リラクゼーション等の健康関連産業、人間ドック、ワンコイン等の自己検診)、介護(ロボット、福祉機器等)なども含んでいる。
そこで経済産業省が着目したのが、全国に約1万7000店舗を有し、医薬品や健康関連を含む様々な商品を取り扱う小売業態であるドラッグストアだ。セルフメディケーションの推進や少子高齢化、買い物難民対策など、わが国の抱える諸課題に対して、ドラッグストアがどのような社会的・経済的役割を果たすべきか、どのような貢献ができるかを、昨年秋に研究会を設けて検討を始めている。
薬業界や小売・流通業界、大学関係者、弁護士、消費者代表など様々な有識者が委員に名を連ねる「セルフメディケーション推進に向けたドラッグストアのあり方に関する研究会」は、昨年11月7日に第1回、12月18日に第2回が行われ、今月28日には第3回が開かれる。そして2月には研究会の報告書を取りまとめる予定となっている。
ドラッグストア(薬局も含め)は、今では生活者の生活をサポートする重要な拠点として認知されつつあるが、これをセルフメディケーション推進のための拠点として生かすためには、まず消費者がドラッグストアの専門知識に期待するような仕組みづくりが求められる。
日本チェーンドラッグストア協会としても、同研究会の結論を来年度の事業方針と連動させる考えで、その提言が小売業態に影響を及ぼす部分も少ないかと思われる。まずは同検討会の推移に注目したい。