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医療制度の劇的な改革が始まった

2007年9月3日 (月)

 医療の大改革が進められつつある。一つは今年4月に施行された第5次医療法改正であり、もう一つは来年4月から施行される後期高齢者医療制度、そして政管健保の公法人化である。

 改正医療法では、医療機関にダイナミックな病院機能情報の公開を迫っている。

 そればかりではなく、医療法人は一人法人を含めて業務報告書等、要するに決算報告書の提出が義務づけられた。新設の社会医療法人の場合では、キャッシュ・フロー計算書まで提示しなくてはならない。まさに上場企業並みの情報開示であり、これを部外者は閲覧できる。

 ほんの少し前、医療の自由化、株式会社化が喧伝されていた。ところが改正医療法では、医療の“非営利”が徹底追求される。今後設立可能な医療法人は、財団医療法人と持ち分なしの社団法人の二つだけになってしまった。

 病床適正化政策は病院の立ち枯れの恐れはもとより、地方財政に強力なプレッシャーとなりつつある。

 後期高齢者医療制度、政管健保の公法人化では、ともに保険者を都道府県単位の枠で創設し、財政運営をさせていこうというものだ。

 一定人口当たり療養病床は最大と最小で607倍の開きがある。この実態は、十年来変化していない。

 中央が笛吹けど地方踊らずの状況が続いてきた。その結果、財政運営の地方委譲で、一挙に火を噴く懸念が出てきたといえそうだ。

 なにしろ医療費はベッド数に相関している。激変緩和策がとられるものの、保険者自体が立ちゆかなくなる深刻な事態の発生も予想される。

 こうした過激に見える政策も冷静に考えれば、机上の話だが、合理性があるようにも思える。その基本にある考え方は“地域完結型医療”である。10年以上前からの謳い文句であるが、一部先進的な地域でしか実現してこなかった。

 一般企業の場合は、個別企業グループの枠を超えた産業資源の相互活用、共有化がグローバルに展開されている。吸収合併で超大型となったメガ企業と、小回りの利くベンチャーが上手にシンクロナイズして、より高い価値を創造する。

 医療においてもそれを地域単位で実現しようというもので、資源不足を集中化で補い、余分な資源は別の機能に転換させていこうというものだ。

 それでも何か妙に思えてくるのは、私企業が既に取り組んでいることを、100%公益法人を目指す半社会主義の医療が後れを取っているのは、何が原因なのかということ。

 非営利化の徹底を前提に医療の介護分野進出の許容や、不採算・重要医療に取り組む医療機関への優遇措置は、これも机上の論理としては合点がいく。

 だが、世の中、理論と現実のギャップに常に悩まされている。

 財政当局が医療の原価に着目し始めたのも大いに賛同するし、医療機能評価も進展している。しかし目の前にある病院の疲弊した姿は何なのか。

 奈良ではまたまた救急医療のお粗末が報道されている。改革が常に重苦しく感じられ、バラ色に見えてこない現実を見据えてほしい。そのための改革といわれればそれまでだが。




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