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新産業ビジョン、官民挙げた取り組みを

2007年9月7日 (金)

 8月に2本目の滑走路の共用が始まった関西国際空港。今月からは国内初の完全24時間運用も始まった。本来は10月から2本目の滑走路を運用する計画だったが、世界陸上大阪大会が8月下旬から行われることに合わせ、開業が8月に前倒しされたものの、管制装置等の調整が遅れたため、24時間運用については今月まで運用がズレ込んでいた。

 関西国際空港では今回の24時間運用に合わせ、「国際貨物ハブ(拠点)空港」を今後の運営方針の柱に据えた。中でも経済成長が著しいアジアを中心に、路線増強を図る考えのようだ。

 しかし、現実はそんなに甘くない。

 韓国の仁川(インチョン)、シンガポールのチャンギ、中国の上海浦東、香港、タイのスワンナプームといったアジアの主要国際空港はいずれも3500m以上の滑走路を複数備え、24時間運航も当たり前だ。

 しかも、離発着料は世界一高いといわれる関空とは比較にならないほど安く、航空会社から「関空は利用しにくい」という声が多い。現に、貨物取扱量はこれら空港と比べ関空はまだまだ少ないのが実情だ。

 他方、旅客便も欧米路線を中心に撤退が相次ぎ、利用者を減らす結果ともなっている。最近では関西財界を中心に利用促進を呼びかけるなどしているため、利用者は持ち直してはいるものの、ビジネス客の多い北米便の数は成田の方が多く、利用勝手もいいため、成田の利用者がまだまだ多いのも事実。

 今後、羽田では第4滑走路の利用、成田では第2滑走路も延長が予定されており、関空の取り巻く環境は、さらに厳しさを増すことが容易に想像できる。

 では、どうしてこのような状況に陥ったのだろうか。これはずばり航空行政に“戦略”というものがなかったからにほかならない。すでに国際競争力という点からみれば、航空業界は大きな後れをとっている。つまり、日本の医薬品産業と置かれている状況は似ているといえよう。

 厚生労働省は8月30日、新医薬品産業ビジョンを公表した。“イノベーションを担う国際競争力のある産業を目指して”という副題がつけられたビジョンでは、従来のビジョンで目指した方向性に未だ達成されていない点があることや、その後に発足した安倍政権が、政府全体として経済成長の加速化、イノベーション促進を政策課題に位置づけたことから、これまでの5年間の変化を踏まえ、今回、新ビジョンと共に、その具体化を図るため、政府の採るべき施策のアクションプランを策定した。

 具体的には、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」の取り組みを踏襲しつつ、5年間の集中的な取り組みを示したアクションプランも盛り込んだ。

 特に、製薬産業の将来像に関しては、▽メガファーマ▽グローバルニッチファーマ▽グローバルカテゴリーファーマ▽ジェネリックファーマ▽OTCファーマ▽ベーシックドラッグファーマ▽異業種、ベンチャー――の七つに分類。特にメガファーマについては、少なくとも102社はグローバルファーマを目指してほしいなどと提言している。

 医薬品産業の国としての戦略を示したのがこのビジョン。この実現には官民挙げての取り組みが重要だ。決して航空業界の二の舞にだけはなってほしくないものだ。




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