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ファーストアクセスの医療人たれ

2015年4月10日 (金)

 薬系学会などのシンポジウムでもよく取り上げられるテーマとして「薬局、薬剤師のあるべき論」がある。これは古くて新しい薬剤師共通の普遍のテーマでもあり、その時々の社会情勢を背景に、求められる内容が、常に高度に変化し続けてきている印象を受ける。悪く言えば、未だその完成形も存在しないというのが実情なのかもしれない。

 近年、病院などの医療機関では、新たな作用機序医薬品の登場で薬物療法が複雑化するのに伴い、投与薬剤の処方設計への関与や入院患者の薬物治療の副作用モニタリングなど薬剤師業務の高度化は進んできた。一方で、医療費抑制や生活習慣病予防などを背景とするセルフメディケーション推進として、一般生活者に近い位置にある薬局、薬剤師の果たす役割も大きく注目されている。

 先月、神戸市で開かれた日本薬学会第135年会でも、セルフメディケーションにおける薬局、薬剤師の役割についての議論が行われた。特に、薬局などで一般薬等の販売に対応する薬剤師は、患者にとってファーストアクセスの医療人となるケースが少なくない。その際の助言や指導が、相談者の健康トラブル等の転帰に大きな影響を及ぼすこともある。その意味で、薬学・医学分野の広範な知識と応用力を持ち、「スペシャリスト」よりも「ジェネラリスト」としての薬剤師の要素が必要との見解もあった。

 一方、薬学6年制のコアカリキュラムの改訂版に準じた教育がこの4月からスタートする。その医療薬学教育の部分には『症候病態について生じる原因とそれらを伴う代表的疾患を挙げ、患者情報をもとに疾患を推測できる』と記載されている。これらは病院、保険薬局に関わらず、薬剤師の業務として「あるべき姿」に向け、欠くことのできない要素になるのだろうか。

 薬局でできることの変革としては、昨年4月から検体測定室を設置することで薬局等で生活者自ら採取した検体について診療の用に供さない生化学的検査が可能になった。既に、検体測定室は全国で既に1000カ所を超える届け出があるようだ。糖尿病の目安となるHbA1c検査により、その後の受診促進につながる有用性データも出ているなど、このような能動的な取り組みは大きな意義がある。

 現在、規制改革会議が進める「医薬分業の規制の見直し」議論では、利便性のみがクローズアップされ、医療人としての薬剤師の存在が、置き去りにされているように感じる。

 調剤室の奥に閉じこもり『顔の見えない薬剤師』の印象が払拭されていないのだろうか。やはり、処方箋調剤だけでなく、様々な健康活動を通じて、医療人としての薬剤師を一般生活者に分かる形で積極的に伝えていくことで、地域の中における薬局の存在価値も高まるのではないかと思う。




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