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「GE80」の行方を見守りたい

2015年08月07日 (金)

 連日の猛暑日が全国で続いている。8月5日の国土交通省気象庁ホームページの最高気温マップでは、北海道を除いて全国が赤(30℃以上)で表示され、関西から中部、関東、東北の各地域では35℃以上の紫表示も数多くある。総務省消防庁のホームページの熱中症救急搬送状況によると、7月5日までは週数百人程度だったが、6日からは3206人に急増し、13日の週は6269人と倍増、27日から8月2日の週は1万1672人と1万人の大台を突破した。死者数は二桁に達している。まだ猛暑は続くようであり、熱中症には最大限の警戒が必要だ。

 さて、表題の「GE80」だが、こちらも気温に劣らず熱い議論が繰り広げられた。80というと人生80年時代という言葉や、8020運動(80歳で自分の歯を20本確保)という標語があったほか、ウルトラマンシリーズにはウルトラマン80がいたり、記念キャンペーンとしてのヤクルト80(1935年創業から80周年)などもあるが、「GE80」は言わずもがなのジェネリック医薬品の数量シェア80%以上という目標のことだ。

 6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」では、主要分野の改革基本方針と重要課題を述べている。社会保障分野では、医療・介護提供体制の適正化、国民が自ら疾病予防することを目指したインセンティブ改革、マイナンバー制度も活用した公的サービスの産業化、負担能力に応じた公平な負担と給付の適正化に続いて、「薬価・調剤等診療報酬と医薬品等に係る改革」について記載している。

 最初に、いろいろと議論された後発医薬品が取り上げられ、数量シェアの目標値は「2017年央に70%以上、18~20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」としているが、17年央での進捗評価を踏まえて「GE80」の達成時期を具体的に決めることとなった。

 GE薬とはいえ医薬品であるので、数量だけではなく当然、安定供給、品質等に関する信頼性の向上、情報提供の充実など、GE薬の課題として以前から指摘されている事項を盛り込んでおり、診療報酬上の措置も含めた必要な追加的措置を講ずることにしている。

 数量目標80%はGE薬メーカーにとっては最大の追い風になると思いきや、逆に安定供給という社会的な重責がのしかかってきたため、目標達成への懸念材料として浮上してきている。

 また、流通面でも課題が山積だ。大型特許品の特許が切れると一斉に数十社からGE薬が発売される。この品揃えと保管は、医薬品卸だけでなく薬局でも大きな問題になってきており、「GE80」時代に突入すればなおさらだ。大手医薬品卸は既に“選択”する準備に入ったと聞いている。GE薬を取り巻く今後の動きに注視していく必要がある。



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