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違法ドラッグ対策の強化を

2007年10月10日 (水)

 近年、違法ドラッグによる健康被害や事件が多発化している。違法ドラッグの種類は多種多様に及ぶ。麻薬や覚せい剤とは異なり、法律で所持や使用、譲渡等が禁止されていないため、かつては「合法ドラッグ」「脱法ドラッグ」と呼ばれていた。だが、これらの呼称は、該当する薬物が薬事法違反の疑いが色濃いにもかかわらず、あたかも法の規制をすり抜けている印象を与えるため、「違法ドラッグ」という呼び名になった。

 違法ドラッグは、ビデオ店、アダルトグッズ店やインターネットなどで、簡単にリーズナブル(200006000円代程度)に入手できるのが大きな問題点だ。麻薬・覚せい剤に比べて使用者の違法性の認識が薄く、青少年の乱用にもつながっている。

 その証拠に、違法ドラッグの使用に起因する事件・事故は少なくない。東京都で違法ドラッグを3種類服用した男性が同居の女性を刺殺した事件(2004年)、茨城県のホテルで男性が通常量の10倍のフォクシーを使用し急死した事件(同)、大阪の男子学生が違法ドラッグを服用して興奮状態になりマンションから転落死した事件(06年)など枚挙に暇がない。事件を教訓に、フォクシーやマジックマッシュルームは麻薬に指定された。

 違法ドラッグが、覚せい剤、大麻・麻薬へのゲートウェイドラッグ(入門薬)と言われているように、違法ドラッグを使っているうちに、より強力な刺激を求めて覚せい剤や大麻に走ってしまうため、その取り締まり強化が必要不可欠なことはいうまでもない。

 とはいえ、規制当局の取り締まりと、業者の巧妙な販売手口がイタチごっこの状況にある。以前は、「合法ドラッグ」「媚薬」などの表示や、「サイケデリックなエクスタシーが得られる」のような幻覚作用、「食用厳禁」などの摂取方法を暗示する表現が商品に記載されていたため、薬事法の規制対象となった。ところが、取り締まりが強化されると、成分名だけで効能効果をうたわず、「試薬」「お香」「ビデオクリーナー」「植物標本」などの商品と偽り、薬事法の適用を逃れようとするようになった。

 当局では、これら巧妙な手口に対応するため、今年4月1日より薬事法を改正した。違法ドラッグの成分を指定薬物とし、指定薬物の販売禁止、広告の制限、疑いがある製品の検査命令、回収・廃棄命令、罰則の強化などを設けるという内容だ。罰則の強化では、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金。法人の場合は1億円以下の罰金」が課せられるようになった。

 その一方で、インターネットによる無店舗販売が横行して販売形態が不明瞭なため、取り締まりが困難である状況に変わりない。では、これら法規制の強化をうまく流通防止にリンクさせる具体的な妙手はあるのか。

 京都府保健福祉部薬務室では、全国に先駆けて06年度より予算を計上し、警察OBをスタッフに加えて「違法ドラッグ・健康食品対策事業」に取り組んでいる。事業内容は、インターネット監視、通報による販売ルートの把握、施設への立ち入り調査などだ。

 06年度には、違法ドラッグの疑いのあるインターネット広告45件を削除。府内のビデオショップ等の販売店の立ち入れ調査では、51店舗の摘発に成功している。インターネット広告は、その多くが他府県のもので、各府県の協力を得て削除した。

 各都道府県でも京都府保健福祉部のような取り組みを参考に、それぞれが連携することで違法ドラッグが撲滅されることを期待したい。



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