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今こそ変化に対応する制度と産業構造へ

2015年9月25日 (金)

 長らく日本を騒がせてきた安全保障関連法案が18日、参院本会議で可決・成立した。戦後の安全保障行動を根本から変えるインパクトを持つが、絶対に戦争はしないことに尽きる。世界でもトップレベルと言われる日本の社会保障制度は、戦争をしない、戦時下にない70年間をかけて培われたものである。国民が空襲されているときに、将来に備えた医療保険料や年金保険料、介護保険料を支払う(サラリーマンは天引きだが)ことはあり得ない。社会保障制度は安寧な国家でしか運用されない。

 一方で、社会制度自体も経年疲弊は避けられない。制度設計した昭和の時代から、人口数と構成比、経済状況、産業構造などの前提が大きく変化したので至極当然のことであり、ここに来て、いろいろな制度の見直しや改正に迫られている。

 国家を支えている主柱は民間企業による産業である。観光が主要産業の場合、観光客が来られない状況に陥ると、それで国家が立ちゆかなくなる。日本は、戦後に鉄鋼、車、家電など物作りを基盤に高度経済成長したので、現在でも姿を変えて多くの産業が生きている。

 国家政策・制度と産業は密接につながっている。それは、単なる税収面だけではない。わが社の新刊「企業家としての国家」の著者であるサセックス大学教授マリアナ・マッツカート女史は、日本語版への序文で、「(略)日本はまず、自身の過去から学ぶ必要があります。すなわち、自信に満ちた公的セクター――企業家精神をもった国家――が活躍できるように、ダイナミックで水平的なイノベーションシステムをもう一度構築して変化を主導し、同時に新たなる活路を見つけ出すために下からの力を積み上げる組織内イノベーションを醸成することです。かつて日本が世界の手本となったように、これこそが長期的で持続可能なイノベーション主導の経済成長への道筋です」とコメントしており、本文では製薬産業の問題点も指摘している。

 厚生労働省は今月4日、医薬品産業強化総合戦略を公表し、先立つ1日には医療用医薬品の流通改善に関する懇談会が提言を提出した。

 総合戦略ではイノベーションの推進、質の高い効率的な医療の実現、グローバルな視点での政策の再構築のテーマで今後の方向性を打ち出している。流改懇の提言では、価値に基づく単品単価取引、GE薬使用促進を踏まえた流通のあり方、市場変化と社会的要請に対応する流通のあり方について触れている。いずれも、国際環境や市場の変化に対応した製薬産業、従来の商慣行からの脱却という、これまでにない大きな転換を求めている。

 医薬品関連産業は、規模も大きく創造的なイノベーション力を発揮し、国民の健康に貢献できる魅力的な産業界である。舵を大きく切る時が到来した。




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