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調剤報酬改定、冷静な議論を

2015年12月18日 (金)

 厚生労働省が次期調剤報酬改定に向けた論点を中央社会保険医療協議会総会に示した。

 かかりつけ薬剤師を包括的に評価する新たな点数の創設や、門前薬局の評価を適正化する観点から、調剤基本料の点数が低くなる特例対象を拡大すると共に、特例対象から外れる要件となっていた「24時間開局」を廃止するなどの方向性を示した。

 患者がお薬手帳を持って同じ薬局に継続して行くようにするため、薬剤服用歴管理指導料において「2回目以降に手帳を持参して来局した場合の点数を下げる」という提案もある。

 厚労省が論点を提示した4日の中医協では、支払い、診療側から様々な意見が出たが、印象的だったのは診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)が調剤報酬改定を検討するに当たり、▽報酬体系を抜本的に見直し、かかりつけ薬剤師を評価▽医科と整合性のない調剤報酬を是正――を柱とするよう求める異例の提案を行ったことだ。

 調剤報酬をめぐっては、規制改革実施計画で「薬局の機能やサービスに応じた診療報酬となるよう、調剤報酬の抜本的な見直しを行う」ことや、「骨太方針2015」でも「服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適正化を行い、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」などの方針がそれぞれ打ち出された。

 10月には、財政制度等審議会が調剤報酬をゼロベースで見直す方針を打ち出し、様々な適正化策を提案しており、次期診療報酬改定の焦点の一つになっていた。

 調剤への風当たりが強まっていたとはいえ、支払い側ならともかく、同じ診療側の委員から、調剤報酬の適正化に関する私案が示されるといった光景はここ数年、目の当たりにしたことがない。

 日医はかねてから調剤報酬への関与を強めており、中医協の場でも中川氏が「調剤報酬の加算の多くは質を担保するものではなく、体制を整えれば容易に算定できる」と発言するなど、現行の調剤報酬体系を問題視していた。

 しかし、診療報酬の医科点数には、“容易に算定できる”ような施設基準が全くないと言い切れるのだろうか。「報酬体系」について言い出したら、“お互い様”の部分もあるのではないか。

 薬局、薬剤師については、反省すべき点が多いことは否めないが、「患者のための薬局ビジョン」でも求めている“患者の服薬状況の一元的・継続的な把握”は、かかりつけの医師と薬剤師の連携が不可欠で、お互いの関係が良好でなければ難しい。

 予算編成の最大の焦点である診療報酬改定率は来週前半にも決定する見通しだ。その改定率を踏まえ、来年1月の中医協からは、個別の改定項目に関する議論がスタートする。ぜひとも、今後の医療をどうするかという視点での議論が積み重なることを期待したい。



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