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門松と鏡餅の謎‐作家 高田崇史

2016年1月7日 (木)

作家 高田崇史

作家 高田崇史

 新年明けましておめでとうございます。

 今年も皆さまにとりまして、良い年となりますよう祈念いたします。

 毎年のようにこの場に色々と書かせていただいているのですが、過去の文章を読み返してみますと、余りお正月に関係ないことばかり書き連ねていたことに気づきました。そこで深く反省しまして(?)今年はお正月の話など。

松・竹は「鬼の木」

 お正月のお飾りといえば、やはり門松と鏡餅が主流ですが、この門松は庶民だけの物であり、朝廷では決して飾ることはありませんでした。昔の国語辞書である『和訓栞』には「禁中、ならびに堂上には、門松を飾ることなし」とはっきり書かれています。「松は長寿、竹は実直」「松は千歳、竹は万歳」というおめでたい物を、なぜ宮中には飾らなかったのでしょうか。大きな謎です。

 ごく簡単に説明すれば、今でこそ「松竹梅」などといって、めでたい植物とされていますが、昔は松も竹も「鬼の木」とされていたからです。「松」という文字の旁は「公」ではなく、もともとは「八白」と書きました。すると「松」は「八白の木」という意味であり、「八白」というのは方位でいえば「鬼門」に該当します。つまり「鬼」です。また「竹」は、火吹きに用いられるように「筒」になっています。そして、古語で「つつ」といえば「星」であり、凶兆と考えられていました。現在でも、犯人のことを「ホシ」と呼ぶのが、その名残りです。つまりこちらも「鬼」なわけです。そこで宮中では「門松」を飾ることはなかったのです。

鏡餅寝かすには納得いかず

 一方の鏡餅についてですが、その名称は「平たく円形の鏡のように作った餅」だからということになっています。しかも、こちらも朝廷絡みで「三種の神器」である「八咫鏡」がモデルになっているという説もあります。

 この時点ですでに疑問が沸いてしまうのですが、それは少し置いておいて、ではなぜその「鏡」の形をしている餅を、わざわざ横に寝かせて飾るのでしょうか?しかも二枚、あるいは三枚、重ねて飾るのです。鏡であるならば、どこの神社や家庭の神棚でもそうしているように、当然、立てて飾るべきなのではないでしょうか?

 それを、何故お正月には横に寝かせて飾るのか。

 全く、納得がいきません。

 さらに、どうしてその上に「橙」を載せるのか。もしも鏡餅が「八咫鏡」を象徴しているというのならば、そんな大事な品の上に物など載せて良いのでしょうか。それどころか「伊勢海老」のような生臭い物(茹でてはあっても)まで飾ってしまうのです。

 これはますます、納得がいきません。

「大国主命=龍蛇神」が根に

 しかし、その理由は実に単純で、我々の祖先は古代からずっと「蛇」を神として崇めてきました。その理由は多岐に渡りますが、脱皮を繰り返して成長することで「死と再生」の形を感じたという話もあり、またその生態から子孫繁栄を願ったものと思われます。そして古語では、この「蛇」のことを「カカ」「ハハ」と呼んでいました。つまり蛇身は「カカ身」「ハハ身」となり、それをかたどった物が「カカミ餅」、「鏡餅」と呼ばれるようになったというわけなのです。

 ゆえに鏡餅は、横から見れば蛇がとぐろを巻いているように見えます。日本の蛇神を代表する大物主神のいらっしゃる三輪山も、横から眺める姿が綺麗な紡錘形をしているため、蛇がとぐろを巻いているようだといって崇められてきました。

 まさにそれと同様に、鏡餅は「蛇」であるからこそ、めでたいとされてきたのです。実際に、大物主神と縁が深い大国主命を祀っている出雲大社には、千家宮司の墨書された「大国主命」=「龍蛇神」の掛け軸があるのですが、この下部には三方の台に載った、とぐろを巻いている蛇神が描かれています。そしてそれはまさに「鏡餅」の姿にそっくりです。


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